
CONTENTS
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表紙
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井戸章雄学長就任記念特集
鹿児島大学第14代学長
井戸章雄学長就任「進取の精神で、地域と世界の未来に挑む教育研究拠点」を目指して -
学びの部屋 ~誌上講義室~
英語教育の歴史を通して社会の複雑さと向き合う
「教育社会学入門」/
共通教育センター・教養教育科目・教養基礎科目
小林 元気 准教授 -
Research&Contribution ~鹿大の研究~法文学部人文学科 心理学コース
菅野 康太 准教授
水産学科 食品生命科学分野
塩﨑 一弘 教授 -
OBOG interview ~卒業生メッセージ~日本エアコミューター株式会社 パイロット訓練生
奥 紘輔 さん/立山 陸 さん -
KADAI TODAY
サーキュラーエコノミー実証事業
「鹿児島大学サテライトラボ」の除幕式を開催 -
鹿大トピックス
共通教育における成績優秀学生を表彰 (共通教育センター長賞表彰)
令和7年度入学式を挙行 ~ご入学おめでとうございます~
ほか -
with KU ~パートナー企業紹介~株式会社 菱熱
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Growing! ~鹿大生の横顔~鹿児島大学教育学部 4年
武内 優里 さん -
CircleFlix ~サークル紹介~陸上競技部
今号の表紙「鹿児島大学 陸上競技場」
鹿児島大学郡元キャンパスの一画に位置。400mトラックとフィールドを備え、授業や課外活動に使用されています。課外時間には、主として陸上競技部の練習の場となっており、部員たちが様々な種目の技術練習や体力トレーニングに励んでいます。
はらぐちあつこ(イラストレーター)
鹿児島大学法文学部法政策学科卒。電力会社勤務を経て、桑沢デザイン研究所ビジュアルデザイン科修了。東京のデザインコンサルティング会社でVI・CIデザイン制作業務の他、歴史絵本制作にも携わる。2015年より峰岸達氏に師事。2020年より福岡市に移住し、フリーランスのイラストレーターとして活動中。


鹿児島大学第14代学長
井戸章雄 学長就任
令和7年4月1日付けで学長に就任しました。
私は「実力を備えた、魅力ある大学」になるために、教育研究環境の充実を図るとともに、産官学連携にも力を入れて、「進取の精神で、地域と世界の未来に挑む教育研究拠点」を目指していきます。
現状に満足することなく次世代に向けた挑戦を
進取の精神を有し、国内外および地域社会の課題解決に取り組む、広い視野を持った人材を育成したいと思います
鹿児島大学は、全学的なキャリア教育を推進するとともに、必須科目に「稲盛フィロソフィ」を組み入れて、「進取の精神」を持った人材の育成に取り組んできました。その結果、令和5年6月に日経HRと日本経済新聞社から発表された大学イメージ調査で、本学は九州・沖縄地区就職力ランキングや全国の大学の取り組みランキングで高い評価を受けています。
大学生・大学院生は未来の社会を創り、支えていく人材です。私は、このようなキャリア教育を継続すると共に、高大接続事業や国際バカロレア入試などのデータを解析して多様な学生を受け入れ、英語教育にも力を入れて、柔軟な思考と幅広い視野を持ち、自身の考えをしっかりと発言できる人材を育成したいと思います。
また、本学には約300名の留学生が在籍していますが、今後は長期留学の受け入れを増やすとともに、日本での就職を念頭においた留学生対象のキャリア支援にも力を入れていきたいと思います。日本の大学で学び、日本の社会で働いた留学生たちが、将来、母国に帰ることになっても、日本で学んだことを活かして母国の発展に貢献してくれること、そして日本との架け橋になってくれることを期待しています。もちろん、海外で活躍する本学卒業生が増えることも期待しています。
広大な県土をキャンパスに大いに学び、考え、成長して欲しいと思います
鹿児島には離島を含む、南北600kmにおよぶ広大な県域があり、さらに古から日本の南の玄関口として海外と交流してきた歴史があります。二つの世界自然遺産「屋久島」、「奄美大島・徳之島」、世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産」の3つの構成資産を有する広大な県土をキャンパスにして、何事にも関心を持ち、学び、考え、さまざまな経験をして大いに成長してほしいと思います。
多彩な研究領域を持つ本学の特色を活かし、部局や専門性を超えた融合型研究を推進します

総合大学である鹿児島大学には、幅広い領域で多彩な研究が展開できる「強み」がありますが、類似した分野の研究者が複数の部局に分散したままでは、逆に総合大学の「弱み」にもなりかねません。本学は、これまでウイルスや人獣共通感染症、島嶼・へき地、防災・減災、再生エネルギー、食と安全、宇宙・天文といった特色ある領域で優れた研究成果をあげてきました。これらの特色ある個々の研究を学内外で結集させ、新たな研究領域を創出するとともに、産官学連携や大型外部資金の獲得につなげたいと思います。
このような個々の研究を結集させるには南九州・南西諸島域イノベーションセンターのURA(University Research Administrator)の役割が極めて重要です。URAは分野の異なった、あるいは類似した研究を連携させて新しい研究領域やプロジェクトを創出する「要」であり、研究者同士をつなぐ「絆」となる人材です。研究支援の中心的役割を担うURAは、まだまだ馴染みのない職種だと思います。しかし、研究歴等を活かして新しいことに挑戦し、皆で力を合わせて新しいものを創り出し、学外に発信して社会に貢献する、そこには新しい研究プロジェクトに心を躍らせるだけでなく、チーム一丸となって目標を目指す充実感と楽しさがあります。企業や自治体出身の人材にとどまらず、本学の大学院生、博士研究員など、研究歴を持つ若手人材をURAとして採用し、育てていきたいと考えています。

多彩な研究領域から、次世代の「強み」研究を掘り起こして支援します
部局を越えた研究だけでなく、各部局が5年後、10年後を見据えて、次世代の「強み」を活かした研究を掘り起こし、育てることも重要です。本学にはユニークで多彩な研究領域があり、その中には地域貢献に資する新たな研究シーズがまだまだ埋もれていると思います。私は、部局長や南九州・南西諸島域イノベーションセンターと協力して、次世代の「強み」研究を見出し、全学的に支援したいと思います。
課題を共有する太平洋諸国と連携して、国際的な研究拠点を目指します
本学の「強み」の一つである、奄美群島などの離島・へき地で取り組んでいる生態系や気候変動、環境保全、文化・言語、考古学、社会・経済に関する多彩な研究は、太平洋諸国が抱える課題の解決にも貢献するものです。私は海外大学との連携に力を入れ、共同研究および交換留学等の人材交流にも力を入れていきたいと思います。
実用化研究で地域および産業界と密接に連携したいと思います

本学では海洋プラスチックごみ監視システム、CO2循環システム、生分解性の高いプラスチックの研究開発を推進しており、サーキュラーパーク九州株式会社(薩摩川内市)で進めている「酵素反応を鍵とするナイロンケミカルリサイクル事業」は地球規模の循環型社会の構築に大きく貢献するものです。また、本学地域防災教育研究センターでは複数の部局と連携して多様な自然災害の研究に取り組み、地域の防災・減災に貢献しています。私は、これらの資源循環や防災・減災など、地域課題の解決につながる独自性の高い研究を支援します。一方、鹿児島県は令和3年度の農業産出額が全国第2位であり、特に豚や肉用牛などの畜産はその約70%を占めています。私は、南九州畜産獣医学拠点を支援して産業動物獣医師の育成を推進すると共に、動物福祉を通じた食の安全、さらには国際的な食糧資源問題の解決に貢献したいと思います。
現在、大学には産官学連携による大学の研究成果の社会実装化(実用化)と大型外部資金の獲得が求められています。本学が有する研究シーズの社会実装化には、南九州を中心とする企業と連携することが重要だと考えていますので、学内で地元企業の知名度を高める取り組みなど、さまざまな形の企業連携を進めて、地域の産業振興と大型研究開発費の獲得につなげていきたいと思います。
大学病院のDX化を推進し、地域医療の要として課題解決に取り組みます

大学病院は、「地域医療の最後の砦」として高度な医療を提供するとともに、教育・研修病院として離島・へき地の医療を支える医師を育成しています。
しかし、昨今の物価や光熱費等の高騰などによって多くの医療機関、特に公的医療機関では赤字経営を余儀なくされているのが現状だと思います。保険診療で医療を提供している医療機関では、経費の増大を価格に転嫁すること(値上げすること)はできません。大学病院も例外ではなく、患者の安全、質の高い医療を提供しようと献身的に働く医師や看護師等の医療スタッフの健康、安定した経営など、相反する難題に直面しています。本学の全教職員の約半数、約2000名が大学病院に在籍しており、本学全体の運営に及ぼす影響は極めて大きいものです。解決の糸口はまだ見えませんが、今できるところから着手しなければ何も変わりませんし、変われません。
現在、電子カルテ等の病院情報のセキュリティ強化を本学情報基盤統括センターと病院医療情報部が協力して進めていますが、併せて教職員、医療スタッフの負担を軽減すべくDXによる病院業務の効率化も進めています。この病院DXでは離島・へき地の医療機関との新しい診療ネットワークの構築にも取り組み、医師や診療科の適正配置につなげていきたいと考えています。
教職員一人一人の責任感、意欲を高め、実力を備えた、発展する大学組織を構築します
大学を運営しているのは一人一人の教職員です。そのために、まず必要なのは「現状に満足しないこと、変わることを厭わないこと」です。DXによる業務効率化によって、ポテンシャルの高い組織に変わっていくことを期待しています。そのためには、まずは透明性の高い公正な大学運営によって、執行部が信頼されることが大切であり、その上で現場の意見をしっかりと取り上げ、議論の場に反映させることが必要です。
教職員の一人一人が最大のパフォーマンスを発揮できるような組織づくりと環境整備を継続し、鹿児島大学を持続して発展する大学にしたいと考えます。
学長からのメッセージ

地域の皆さまには、鹿児島大学の学生・大学院生をどうか温かく見守り、可愛がっていただければと思います。縁あってこの鹿児島の地に住み、学ぶことになった若者たちです。卒業後は、都市部で就職する学生も多くいますが、彼らとの交流は、将来の鹿児島との関係人口の増加にもつながるでしょう。将来を担う若者たちにとって鹿児島で過ごした時間が一生の思い出になるよう、大学教職員だけでなく地元の方々にもご協力をお願いしたいと思います。
学生の皆さんには、大学・大学院の学生生活を満喫してほしいと思います。自由で、学ぶことに集中できる大学生活は一生の中でもかけがえのない貴重な時間です。世界には学ぶことどころか、生きることさえ当たり前でない人々がいることを忘れないでください。専門分野の学習はもとより、社会のこと、世界のこと、さまざまなことに関心を持って知識を身につけ、深く考える力を養ってください。「何のために学ぶのか」「何のために生きるのか」、という根本的な問いに対して、悩んで悩んで悩み抜いて欲しいと思います。大学時代は、人として一生学び続けるための基礎を作る時間です。年齢相応の教養と常識を身につけ、「自利利他」の精神で社会に貢献し、多くの人々を幸せにする若者に育ってくれたらとてもうれしいです。
教職員の皆さんには、一人一人が問題意識を持ち、本学が発展するために何ができるかを考えていただきたいと思います。既存のルールや慣習を見直し、皆さんが「何かを良くしたい」と思って一歩でも前に進む、その姿勢が大切です。皆さんの小さな一歩の積み重ねが、大きな改革、そして飛躍的な発展へとつながることを期待しています。先にも述べましたが、時代は流れていきます。変わることを恐れず、勇気を持って一歩を踏み出し、新しい鹿児島大学を一緒に創っていきましょう。
井戸学長のプロフィール
医学部時代から内科医になろうと決めていて、最も研修が厳しかった母校の内科学教室に入局しました。研修医1年目に教授から言われた「医学はサイエンスだよ」を本当の意味で理解できたのは、救急病院からいきなり海外留学して基礎医学を学んで帰国、再び診療の現場に戻った時でした。それ以降は地域医療(臨床)に携わりながら、臨床の課題に関する基礎研究を行い、その研究成果を臨床に応用するという「臨床医」と「研究者」の二足の草鞋を履いてきました。この4月からは学長として、鹿児島大学を隅々まで熱い血の通った組織にしていきたいと思っています。
- 昭和59年6月
- 長崎大学医学部附属病院 第一内科 研修医
- 平成2年9月
- カルガリー大学医学部 生化学教室 研究員
- 平成8年11月
- 宮崎医科大学医学部 内科学第二講座 助手
- 平成14年7月
- 京都大学医学部附属病院 探索医療センター 助教授
- 平成19年7月
- 鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 准教授
- 平成26年1月
- 鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 教授
- 令和3年4月
- 鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 研究科長
- 令和5年4月
- 国立大学法人鹿児島大学 理事・副学長(研究・情報担当)
- 令和7年4月
- 国立大学法人鹿児島大学長
専門分野
消化器内科、特に肝臓病が専門、いわゆる「お腹のお医者さん」。研究では、がん遺伝子治療、急性肝不全と肝再生、傷害組織の再生・修復、そしてトランスレーショナル・リサーチ(基礎的研究成果の臨床応用)に取り組んできました。
趣味
何かにこだわったり、物を収集するような趣味はありませんが、年取っても続けられると始めたテニスは50年近く、飽きずに細々と続けています。
スポーツは観るより、やりたい方ですが、ロジャー・フェデラー(スイス)の高度な技術と洗練されたテニス、ラファエル・ナダル(スペイン)の躍動的なパワーテニス、この二人の対決は見逃せません。昨年、ロジャー・フェデラーが引退したのがとても残念。
座右の銘
Learn from yesterday, live for today, hope for tomorrow. The important thing is not to stop questioning. (昨日から学び、今日を生き、明日に希望を持とう。大切なことは、疑問を持ち続けること。)
理論物理学者アインシュタインの言葉です。過去の失敗から学び、今日に繋げ、明日また 新たな1日が来ることを期待して生きていく。もっとも大切なことは、問うこと、考えることをやめないこと。失敗から学ぶことは多く、逆に、失敗を恐れていては成長の機会を逃してしまいます。「進取の精神」にもつながる言葉です。
休日の過ごし方
相手とコートがあればテニスをして、汗をかいた後にビールを飲む。勝利の美酒ではないが、最高に美味い。「生きてる!」ことを実感する。
映画館でポップコーンとコーラ(これが定番!)を抱えて映画を観る。しばしば感動に涙し、洋画のエンドロールでは日本人の名前を見つけて「よっしゃあ!」と元気をもらう。
ラフな格好にサングラス、帽子を目深にかぶり(一見、怪しげ...)、甲突川の遊歩道で(時々、おつまみ+ビールで)ボーッとする。「散歩する家族連れを眺め、光と陰の揺らぎや風を感じて、街が生きてるなあ...」とホッとする。
少年・学生時代
故郷・延岡市内を流れる大瀬川を遊び場にして育ちました。父親の勧め(半ば強制?)で幼稚園から剣道を始めていましたが、川で泳ぎ、魚やエビを獲り、また川岸の竹薮に秘密基地を作ったり...と。ただ、川遊びと道場の稽古では流石に体力が続かず、小学4年の時に、剣道も川泳ぎもドクターストップがかかってしまい、それ以降は「模範少年」でした...たぶん(笑)。
大学時代は親元を離れ、硬式テニスに熱中しました。当然、成績は褒められたものではありませんでしたが、テニスで鍛えた土俵際(ライン際?)の集中力と体力で、修業年限で卒業、その勢いで(!?)医師国家試験も合格しました。
ただ、学生の皆さんには、大学時代の不勉強は卒業後に必ず取り返さないといけないし、これが大変な苦労(学生時代の何十倍も努力が必要!)ですから、講義にはきちんとでて、コツコツと勉強していた方が絶対に楽で効率もいい...とアドバイスしたいです。


「教育社会学入門」/共通教育センター・
教養教育科目・教養基礎科目 小林 元気 准教授
英語教育の歴史を通して
社会の複雑さと向き合う
私たちが教育を考えるとき、油断すると身近なコミュニティ内で完結した価値観に基づいて理解しがちだ。社会学の中でもとりわけ教育に関する内容をテーマに、社会学的想像力を身につけることを目指す「教育社会学入門」では、多角的な概念と具体的なデータを用いて私たちを取り巻く社会を俯瞰的にとらえ直し、社会的公正について考察していく。
英語必修化の真の
理由は何なのか
「なぜ、高校生全員に英語の授業をしなければならないのか」。小林元気先生の問いかけから教育社会学入門第9回「グローバリゼーションと教育政策」の講義が始まった。授業冒頭のアンケートでは、教室内の約半数の受講生が「英語が嫌いだった」と答え、さらに大半が「ほとんど話せない」という現実が浮き彫りとなる。日本全体においても、中学高校で英語教育を受けているにもかかわらず日常会話程度の英語を話せる人は約10%にとどまる。
英語はどのように「全員が学ぶ教科」になったのか。寺沢拓敬氏の研究によれば、戦後間もない1947年の学習指導要領(試案)では、都市と地方では英語の必要性に差があるとの認識から、英語は選択科目だった。そのため、地域によって履修状況が大きく異なっていたという。しかし、1960年代になると農山村・漁村での履修率が急激に増加し、70年代には事実上の必修化が完成している。
ここで注目すべきは、この変化が「英語の必要性が高まったからではない」という点だ。60年代の日本は貿易規模も小さく、海外旅行も一般的ではなかった。若者の英語学習意欲が高まったわけでも、企業が英語での業務を求めたわけでもない。むしろ、人格形成や国際的視野の育成という抽象的な教養論、高校入試の英語導入、ベビーブーマーへの対応としての教員配置など、教育内容の外側にある制度的・構造的要因が大きく作用していたのである。
改革への期待と現実
2000年代以降、英語教育改革は加速し、2003年の「『英語が使える日本人』育成のための行動計画」を皮切りに、小学校での英語必修化、中高での英語による授業の実施など※4技能重視の改革を展開してきた。しかし、受講生たちが自身の英語教育を振り返るディスカッションでは、「英単語や文法が身につく」という評価の一方で、「実践的ではない」との声が上がる。これらの問題意識は1986年の臨時教育審議会で指摘されていた内容と重なり、「皆さんが生まれる前から、英語の4技能を総合的に学ぶべきとの課題意識はあったのです」と小林先生は指摘する。
入試制度を変更すれば英語教育が改善されるとの期待から、2006年度にセンター試験でリスニングテストが開始される。2021年度の共通テストからは英検など民間英語試験の活用も検討されたが、試験会場の地域的不均衡や経済格差など、受験機会の公平性に疑問が残り頓挫した経緯がある。ここで小林先生は、「大学受験の英語の試験を民間試験に置き換えることの意味を、私たちはしっかり理解しなければならない」と付け加える。
※リスニング/リーディング/ライティング/スピーキング
イデオロギーとしての
グローバル化とは

小林 元気(こばやし・げんき)
准教授
鹿児島大学総合教育学系
中等・高等教育接続センター 准教授
[学位]博士(学術)神戸大学、2020年
[所属学会]日本教育社会学会、異文化間教育学会、日本教育学会
[専門分野]教育社会学、高等教育論、異文化間教育学
こうした英語教育改革の背景にあるのは、「世界はグローバル化しているから英語が必要」「英語は人的資本を高める」「英語は早期に始めたほうが効果的」といった信念だ。しかし、これらの信念は必ずしも学術的知見に裏づけられているわけではない。小林先生は、日本人の英語力の低さを指摘する英語力ランキングを例に、サンプリングの偏りや、それを発表する民間企業の利益など、一見すると客観的に思えるデータの解釈について受講生たちに注意を促す。
そもそもグローバル化とは何か。ここで強調されるのは、グローバル化が「イデオロギー」としての側面を持つということだ。イデオロギーは私たちの社会の見えかたを強く方向づけるような力を持つ。しかし、グローバル化とは非常に複雑な現象であり、グローバル化=英語化と単純化して考えることは適切ではない。私たちの意識に影響を及ぼすイデオロギーを客観的に問い直すことが、社会学的想像力を身につける第一歩となる。
マウスの音声コミュニケーションの機能と脳による制御機構の解明
~超音波の「声」を通じて感情のやり取りや個性の成り立ちを探る~

菅野康太 准教授
法文学部人文学科 心理学コース
感情の表出としての
マウスの「声」


多くのげっ歯類は人間には聞こえない超音波を用いてコミュニケーションをとっています。マウスが発する超音波の「声」を超音波マイクで録音すると、例えば、赤ちゃんマウスは母親から離されると不快のシグナルとして鳴き声を上げ、雄は雌に対して求愛の声を出していることがわかります。鳥の鳴き声には音の順序に明瞭な規則性が見られ「文法」のモデル実験系と考えられているのですが、げっ歯類の場合はむしろ情動、つまり感情の表出として理解されています。
マウスの声の質(声の高さや音の変調具合など)は、概ね遺伝によって決まっています。近年、実験に使うマウスは個体間で遺伝子がほぼ同一な「系統」と呼ばれるものを使うので、遺伝系統間で声を比較すると、その特徴が異なることが分かります。しかし、興味深いことに、同じ系統の個体でもよく鳴く個体とそうでない個体が存在します。つまり、持って生まれた遺伝子が同じでも感情表現の仕方に個体差が生じます。これらの知見を、経験や環境によって「個性がどのように育つのか」という研究に繋げていきたいと思っています。そのためにも、聴こえない声を可視化するための装置を共同研究で開発しました(図参照)。
音声コミュニケーションの
脳科学的機構の解明
人間も含めた哺乳動物にとって、親子関係や雄と雌の関係は極めて根源的なものです。親子関係の良し悪しが後の行動にも永続的な影響を及ぼすということがわかっていますし、子の成長後、雄と雌が出会わなければ次世代は存在しえません。こうした関係性がどのように築かれるのかを明らかにすることは、進化生物学的にも重要であると考えています。
人間の赤ちゃんが泣き出すと大人の側がそこに意図を感じとり、世話をするという関係性が生まれます。音には、時間の流れの中で今までと違う何かが起きたということを伝えるシグナルになり得るという顕著性があり、さらに、一度に多くの個体とやりとりできるという性質があります。「声を出す」ことはインタラクションのきっかけになり、この現象をうまく使っていくことで、おそらく、多くのコミュニケーションは成立しているのです。
互いの良好な関係性を築いていくために、どんな状況でどんな声を発するのか、その声を受け取った相手の内面がどう変化して関係性が構築されていくのか。それは、マウスの超音波発声の研究からも解明できると考えています。マウスの鳴き声が何を意味し、どのように脳で制御されているのかを解明することは、医学や神経科学への応用にもつながります。実際これまでに、疾患関連遺伝子を欠損させたモデルマウスの音声の研究を医学分野の先生方と共同で行っています。また、「楽しい」ときには1匹でも声をあげるのではないかと思い、ランニングホイールを走るマウスの声を学会で発表したこともあります。
サイエンスと社会の
対話がもたらすものとは
マウスの声というミクロなテーマも、感情や関係性の本質に迫る研究として、社会とつながる力を持っています。しかし、科学の営みの重要性や必要性が社会の中で共有されなければ、科学の力は十分に発揮されません。
東日本大震災時の原発事故や、コロナ禍におけるワクチンをめぐる議論では、科学の情報発信が信頼されるにはどうすればよいか問われました。私は学生時代から異分野とのコラボレーションを通して情報発信を試みてきましたが、現在は法文学部という人文社会科学分野の学部で教壇に立ち、学生たちに科学の教養的側面をどう届けるか日々模索しています。大学での学びを通した次世代の育成は、将来のイノベーションの種になるはずです。
- 研究のポイント
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- マウスの超音波発声(USVs)による音声コミュニケーションを研究。
- 親子や雌雄の「声」に表れる情動を、行動と脳から探る。
- 情動表出の多様性を解析する新手法で、個性の可視化に挑む。

菅野 康太(かんの・こうた)准教授
東京大学博士(理学)2012年3月、東京大学修士(理学)2009年3月、早稲田大学学士(人間科学)2007年3月、東京大学大学院副専攻科学技術インタープリター養成プログラム2010年3月 修了、2013年4月~2016年3月 日本学術振興会特別研究員PD(受入機関:麻布大学)、2016年10月 鹿児島大学法文学部人文学科心理学コース 講師、2018年4月~法文学部人文学科心理学コース 大学院人文社会科 学研究科 准教授
■所属学会等:日本神経科学学会、日本動物心理学会
■専門分野:○行動神経科学 ○マウス音声コミュニケーション
聴こえない「声」に耳を澄ませることは、他者理解のはじまりだと信じています。
共同研究者メッセージ

富山大学学術研究部医学系システム情動科学
松本 惇平(まつもと•じゅんぺい)助教
超音波発声(USVs)は、マウスやラットの情動や社会性を読み解く鍵とされているものの、可聴範囲外であることから知見の蓄積が限られており、その性質や機能にはいまだ多くの謎が残されています。菅野先生はこうしたUSVsの本質に対して丁寧な実験と解析により着実に迫ると同時に、卓越した求心力と発信力で本分野を牽引されています。共同開発したUSVCAMは、USVsによるコミュニケーション解明に向けた重要なツールです。USVCAMをはじめとする技術と、行動観察・音響解析・脳機能解析を融合した菅野先生の研究のさらなる展開を期待しています。
ヒトの精神疾患と同じ症状を示す動物モデルを用いた創薬研究
~ゼブラフィッシュとヒトに共通する情動行動を新薬開発に活用~

塩﨑 一弘 教授
水産学科 食品生命科学分野
メダカほどの小さな魚と
人間に共通する感情とは


魚に人間と同じような「感情」はあるのでしょうか?そう尋ねると意外に聞こえるかもしれません。しかし、私たちの研究室では、ゼブラフィッシュというメダカほどの小さな魚を使って人間のメンタルヘルスの新薬開発に挑んでいます。
実は、不安や緊張に基づく情動行動は多くの生物で共通しています。例えば、人間は不安を感じると仲間を求め、気分が落ち込むと暗い場所を好みますよね。魚もまた、不安を感じると群れを作り、危険を察知すると暗がりに隠れるという行動をとります。この共通性を科学的に捉える試みは、情動障害を伴う病気である「うつ」などの問題を解決する可能性を持っています。
ゼブラフィッシュは繁殖力が高く、比較的低コストで飼育できることからマウスやラットに次いでよく使われる実験動物です。卵が透明なので解剖することなく成長過程が観察でき、さらに、群れで泳ぐなど社会性行動がマウスより人間に近いことから、社会性の研究をするのに適したモデルであると考えています。
既存の漢方薬が持つ
新たな効能を見つける
私たちの研究では、遺伝子操作やストレスを与えることによって「不安を示すゼブラフィッシュ」や「社会性が低下したゼブラフィッシュ」を作り出し、これらの魚にさまざまな物質を投与して行動変化を観察し、遺伝子、タンパク質、ホルモンなど、細胞レベルの詳細な解析を行っています。魚たちを元の状態に戻すことができれば、その理屈を人間や他の動物にも応用できるはずです。
検証している物質は、主に漢方薬や柑橘類の成分、植物由来の化合物などです。特に、既に製品化されている漢方薬に含まれる生薬は、安全性が確立されているため、新たな効果を発見できればスムーズに実用化できます。これまでも、臨床現場では処方した漢方薬について「想定外にメンタル面も改善した」という経験的な報告があり、私たちはそれを魚で検証し、エビデンスを積み上げることでその効果を証明しようとしています。
もちろん、魚で有効性が認められた物質でも、人間への応用は難しいケースもあります。例えば、私たちが開発したストレス軽減効果のある焼酎かす由来の機能性飼料は、強い匂いのため人への利用には不向きでした。しかし、低コストという点から養殖業にとっては有益な飼料となったのです。このように、研究の出口を人間や魚、畜産動物など幅広い分野の問題解決に適用できることも私たちの研究の特徴の一つです。
メンタル改善によって
社会的孤立解消を目指す
メンタルの悩みは、赤ちゃんからお年寄りまで、誰にとっても身近な問題です。家族や職場など、人との関わりの中で悩みを抱える人は少なくありません。実は、そうした社会的関係にまつわるストレスや問題は、小さな魚でさえ本能的に感じており、私たちと同じように感情に左右された行動をとるというのは、非常に興味深いことです。
今後の展開として今注目しているのは、高齢化社会特有の課題です。お年寄りがメンタル面で落ち込むと、食欲が減退し、家に閉じこもりがちになります。すると筋力不足や運動不足から転倒リスクが高まり、寝たきりや要介護状態になってしまうことも少なくありません。メンタルヘルスを改善する薬によってお年寄りの社会的孤立を防ぐことができれば、活動的な生活が維持でき、健康寿命の延伸が期待できます。
- 研究のポイント
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- 社会的孤立を生み出す精神疾患や、不安、緊張、ストレスなどに焦点を当て、魚と人間との共通性から改善方法を探る。
- 精神疾患モデルのゼブラフィッシュを用いて情動行動のメカニズムを解明し、漢方薬などさまざまな物質の改善効果を検証していく。
- ゼブラフィッシュへの効果が認められた物質から機能性食品や治療薬を開発。人間だけでなく水産学や畜産学への応用を目指す。

塩﨑一弘(しおざき・かずひろ) 教授
東北大学 博士(農学)2005年3月、2005年~2010年 宮城県立がんセンター研究所 生化学部門 博士研究員、2010年~ 鹿児島大学水産学部助教、2015年~ 水産学部准教授、2023年~水産学部教授
■所属学会等:日本糖質学会、日本分子生物学会、日本水産学会
■研究分野:○糖鎖生物学 ○食品機能学 ○水圏生命科学
共同研究者メッセージ

理化学研究所
本田 晃伸(ほんだ・あきのぶ)研究員
ゼブラフィッシュは、マウスやラットに続く「第3の実験動物」として、世界中で広く用いられているモデル生物です。塩﨑先生は、水産学部ならではのユニークな視点から、ゼブラフィッシュの情動がどのように制御されているのかを解明し、その知見をもとに、ヒトの疾患発症メカニズムの理解や精神疾患の治療薬開発に取り組まれています。私自身も学生時代から魚の魅力に惹かれ、現在も塩﨑先生と共同研究を続けています。近年、急速に変化する社会環境の中で、精神的なストレスや心の病を抱える方が増加しています。ゼブラフィッシュという小さな魚の研究から、そうした課題の解決につながる技術や、生活の質(QOL)の向上に貢献する新たな手法が生まれることを、心から期待しています。

立山陸:奄美市出身。鹿児島大学工学部機械工学科卒業。
2021年3月に開催したSKYCAMP(1期)に参加。地域密着型パイロット人財創出プログラムの1期生として、2022年4月から崇城大学の研究科でエアラインパイロットに必要なライセンス(自家用(単発)操縦士技能証明、事業用(多発)操縦士技能証明、計器飛行証明)を取得。現在はJACの訓練生として勤務し、約1年後には副操縦士として乗務予定。
生まれ育った鹿児島の地で
憧れの大空を翔るパイロットへ
立山 陸



本学とJALグループの連携のもと実施された、地域密着型パイロット人材創出プログラム「SKY CAMP」1期生の奥紘輔さん、立山陸さんは、2月からパイロット訓練生として日本エアコミューターに入社しました。1期生で候補に選ばれた2人は、養成機関の崇城大学に約3年間身を置き、エアラインパイロットに必要な4つのライセンスを取得。「毎日が新しいことの連続で、自分の限界を押し広げていくような感覚だった」と振り返ります。「強く印象に残っているのは初ソロフライト。あの興奮と感動は他に例えようがない程の経験です(奥さん)」、「航路上の天候や管制官からの指示など状況の変化に対応する柔軟性、物事の本質を見極める洞察力、そして冷静に判断する力を学びました(立山さん)」。今年2月にはSKY CAMPにスタッフとして携わり、同じ思いを持つ後輩たちをサポート。パイオニアとして立つ責任を改めて感じたと言います。
入社後はATR型機のライセンス取得訓練に励む日々。早ければ来年4月、副操縦士としてパイロットデビューする予定です。「安全は偶然あるものではなく、さまざまなスタッフによる地道な努力の積み重ねによって作り上げられたもの。安全運航を堅持しながら、故郷鹿児島に貢献するパイロットを目指したい(立山さん)」、「お客様、スタッフの命を預かる責任ある仕事。そのためには知識、技術を身につけるのはもちろん、人間としても成長し続けたい(奥さん)」と目標を語ってくれました。機上で、彼らのアナウンスを耳にできる日が楽しみです。
サーキュラーエコノミー実証事業「鹿児島大学サテライトラボ」の除幕式を開催

本学、薩摩川内市、サーキュラーパーク九州株式会社、九州電力株式会社の4者は、循環経済の形成と脱炭素化を推進し、持続可能な社会の構築を目指すサーキュラーエコノミー実証事業の実施に関する連携協定に基づき、薩摩川内市のサーキュラーパーク九州株式会社敷地内に「鹿児島大学サテライトラボ」を設置しました。
4月22日に開催された除幕式には、4者の関係者が集まり、ラボのお披露目を行いました。式典後には施設内の見学会も実施されました。
今回開設された鹿児島大学サテライトラボは、九州電力・川内火力発電所の実験室をリノベーションした施設で、大学で確立されたリサイクル技術のスケールアップ・実用化を目指した検証・実証試験ができる化学実験室となっています。
今後、このラボは、本学と企業が共同でサーキュラーエコノミーの社会実装を目指した共同研究や実証試験を実施する拠点となります。

(参考)
・サーキュラーパーク九州株式会社Web サイト NEWS
・(令和6年2月16日)「薩摩川内市を中心としたサーキュラーエコノミー実証事業の推進に向けた連携協定」を締結
・(令和6年 11月6日)サーキュラーエコノミー実証事業~食品残渣の堆肥化・飼料化実 証事業のための5者連携の開始~
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共通教育における成績優秀学生を表彰(共通教育センター長賞表彰)
4月2日、令和6年度後期共通教育センター長賞表彰式を挙行しました。
この表彰は、共通教育科目の通算GPAの値が3.5以上であった学生のうち、各学部の上位2名を共通教育における成績優秀者として表彰するものです。昨年10月に表彰した12名に続き、医学部医学科、歯学部、共同獣医学部共同獣医学科の令和6年度入学生の中から、今回は3名が受賞しました。
賞状授与後、大前慶和共通教育センター長は、「この1年間とても早かったと思いますが、頑張って勉学に励まれてきたのではないでしょうか。ライセンス学部の皆さんは、2年生から本格的に専門の勉強が始まると思いますが、少しでも余裕があり幅広い教養や知識を身に付けたいと思ったときには、ぜひとも共通教育科目の授業を受講してください。皆さんの受講を待っています。本日はおめでとうございます」とお祝いの言葉を述べ、学生を激励しました。
共同獣医学部共同獣医学科の受賞者である李峙怡さんは、「今回の受賞は驚きましたが大変うれしく思います。共通教育科目は、幅広い知識を学ぶことができ、授業内容も魅力的で印象に残っている科目が多かったです。将来の夢である臨床獣医師を目指して、今後も勉学に励みたいと思います」と今回の受賞の感想と今後の目標について語ってくれました。
共通教育センターでは、今後も主としてGPA値を基にした成績優秀者の表彰と共通教育科目の厳格な成績評価の点検および授業運営の改善に努めていきます。
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令和7年度入学式を挙行~ご入学おめでとうございます~
4月7日、鹿児島県総合体育センター体育館において、令和7 年度入学式を挙行しました。
今年度の入学生は、学部入学生1,924名、大学院入学生621名の計2,545名です。
式では、井戸章雄学長による入学許可の後、学部と大学院それぞれを代表し、今吉粒桜さん(医学部保健学科)と阿野太郎さん(人文社会科学研究科)の2名が入学生宣誓を行いました。
井戸学長は告辞で入学生に祝意を表し、「今日から始まる大切な学生生活で、専門知識はもとより、何事にも関心を持って幅広い知識を得るとともに課題を見出す力を養い、新しい社会や世界のあり方を考え、課題を解決する『何か』を創り出す力を養ってください」そして、「自分自身を大切にするとともに、友人や仲間たちの個性、異なった経験や考えをも尊重して、同じ時間を過ごす友人や仲間たちと大いに語り、共に学び、お互いを高め合い、鹿児島大学での学生生活を謳歌してください」とエールを贈りました。
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台湾 国立屛東大学長一行が学長を訪問
4月16日、台湾国立屏東大学陳永森学長一行が本学を来訪し、井戸章雄学長を訪れまし た。
今回の訪問は、2024年12月2日付で締結された国立屛東大学と鹿児島大学との大学間学術交流協定に基づき実現したものです。
訪問には、陳学長および陳皇州国立屏東大学国際事務局長をはじめ、2024年1月に台湾屏東県と交流協定を締結した鹿児島県から橘木宏幸鹿児島県観光連盟専務理事、高江奉子同連盟海外誘致部マネージャー、横山武徳鹿児島県国際交流課課長補佐が参加しました。本学からは郡山千早副学長(国際担当)、藤内哲也法文学部長、溝口和宏教育学部長、内ノ倉真吾教育学部准教授が同席し、井戸学長から歓迎のあいさつの後、懇談が行われました。
国立屏東大学は台湾最南端の屏東県に位置しており、地理的に本学との共通点も多いことから、今後は学生交流をはじめ、教育研究の共通する分野において共同研究が見込まれています。
今回の訪問により、交流の活性化が期待される大変有意義な機会となりました。
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中国 清華大学日本研究センター長が学長を訪問
4月23日、中国清華大学李延江日本研究センター長が本学を来訪し、井戸章雄学長を訪れました。
今回の訪問は、2024年12月17日付で締結された清華大学と鹿児島大学との大学間学術交流協定に基づき実現したものです。
訪問には、李センター長をはじめ、本学から山口明伸稲盛アカデミー長、佐野輝稲盛アカデミー特任教授、劉美玲稲盛アカデミー准教授が同席し、井戸学長から歓迎のあいさつの後、李センター長から井戸学長へ学長就任の祝福が伝えられました。
懇談では、両大学の協力関係を確認するとともに、学生・研究者交流の今後の展望について意見が交わされました。
また、学長表敬後は稲盛アカデミーを訪問し、今後の両大学の交流の発展に向けて、活発な意見交換を行いました。
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高齢者成人T細胞白血病・リンパ腫に対する新たな標準治療を確立
鹿児島大学病院血液・膠原病内科の石塚賢治教授、吉満誠准教授らは、高齢者成人T細胞白血病・リンパ腫に対する新たな標準治療を確立したとして、6月6日に記者発表を行いました。記者発表には、共同研究者である名古屋市立大学(現愛知県がんセンター)血液・細胞療法部の楠本茂部長、独立行政法人国立病院機構九州がんセンター血液・細胞治療科の崔日承医長のほか、鹿児島大学大学院医歯学総合研究科の田川義晃研究科長が出席しました。
成人T細胞白血病・リンパ腫(ATL)は、ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)により引き起こされる極めて予後不良な疾患です。日本はHTLV-1の世界的な浸淫国であり、中でも鹿児島をはじめとする西南日本は感染者が特に多い地域です。
また、若年(65~70歳以下)の患者さんに対しては、同種造血幹細胞移植が治癒を期待できる標準治療として確立されていますが、国内ではATL患者の高齢化が進んでおり、同種造血幹細胞移植の適応とならない高齢者のATLに対する標準治療の確立は、喫緊の課題とされてきました。
今回の研究は、世界初の臨床試験において、同種造血幹細胞移植の適応とならない高齢者アグレッシブ成人T細胞白血病・リンパ腫に対する標準治療を確立した点で、非常に大きい研究成果であると考えられます。
記者発表で石塚教授は、「本研究が一人でも多くのATLの患者さんを救う治療につながるよう、今後も研究を進めていく」とさらなる治療成績の向上に対し、力強い抱負を述べました。

株式会社 菱熱

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鹿児島大学教育学部 4年武内 優里さん
ティンカリング×木育活動を通じて
木の心地よさ、楽しさを伝えたい
木を運ぶ、切る、磨く。糸のこ盤などの道具も器用に使いこなす武内さんですが、鹿大に入学するまで木材加工はおろか、木に触れる機会もほとんどなかったといいます。「屋久島で雄大な森を見て、木が好きに。木材を教育活動に生かしたいという思いから木材加工研究室を選択しました」。同研究室は、教育メソッド「ティンカリング(試行錯誤を伴う自由なものづくり活動)」を取り入れた木育活動に注力しており、今年1月には児童施設を訪問し、端材で自由にものづくりをする木育の教育方法を実践。「子どもたちは端材のサイズを工夫したり、木の香りに注目したり、手を動かしながら喜び、時にはモヤモヤしたような表情を浮かべたりしながら、思い思いの作品を仕上げました。自由な発想に驚くとともに、ものづくり活動が集中力と満足感の向上、主体的な学びに向かう姿勢を育むのだと感じました」。
武内さんは、木とともに生きることの素晴らしさを伝える「かごしま木育ガール・ボーイ」の一員としても活動しています。「学生だけでなく先生方や卒業生、社会人など多様なメンバーで構成。参加者層や地域性が生きるようなイベントを自分たちで考えています。木に触れる楽しさを、世代の垣根なくたくさんの人に感じてもらえる、ものづくり体験の場を提供できたら」と今後の抱負を語ってくれました。



私の座右の銘
とにかく「好き」を追求する
コロナ禍とともに過ごした大学生活。思うように動けない時期を過ごしたからこそ、残り2年間は積極的に活動しようと決めました。サークル活動をきっかけに屋久島の魅力に取りつかれ、訪れること11回。すっかり地域の方々とも仲良しになりました。


努力の先に生まれる「感動」
- 陸上競技とは?
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走る・跳ぶ・投げる力を競い合う、スピードと技の限界に挑むスポーツ。最後は己との真っ向勝負!
- 陸上競技部の魅力は?
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短距離・長距離・跳躍投擲の全ての競技において部員が切磋琢磨しています。特に長距離種目では、2023年から2年連続で全日本大学駅伝対校選手権大会に出場しており、着実に実力を伸ばしています。
- 活動内容について教えてください。
- それぞれの専門種目に合わせた練習を行います。走ったり、跳んだり、投げたり様々な練習を行っています。
DATA ※2025年5/27 時点
- 部員数
- 60名[男45名・女15名]
- 活動場所
- 鹿児島大学教育学部グラウンド
鴨池陸上競技場 - 活動日時
- 月・火・水・金 16:30~
土 9:00~
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