CONTENTS
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特集
学校現場のニーズに応える
教師教育開発センター開設 -
学びの部屋 ~誌上講義室~
健康的な行動を習慣にする
「体育・健康科学理論」/
共通教育センター初年次教育体育・健康
川畑 和也 助教 -
Research&Contribution ~鹿大の研究~農学部農学科 食料生命科学プログラム
加治屋 勝子 研究教授
水産学部水産学科 水圏科学分野
中村 啓彦 教授 -
OBOG interview ~卒業生メッセージ~薩摩おいどんカップ 実行委員長/
株式会社ぶるぺん 代表取締役
小薗 健一 さん -
KADAI TODAY
「先端研究集成館事業」を創設
~大学の特色・強みのある研究を支援~ -
鹿大トピックス
課題解決型インターンシップキャリア実習事前講座を開催
今枝宗一郎文部科学副大臣が鹿児島大学を視察
ほか -
with KU ~パートナー企業紹介~株式会社 富士通鹿児島インフォネット
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Growing! ~鹿大生の横顔~鹿児島大学医学部3年
一原 愛心 さん -
CircleFlix ~サークル紹介~馬術部
今号の表紙「教育実習」
教育学部では、1年次から学校実習を実施しており、3年次の「教育実習I」で初めて教壇に立ち、教科指導や学級活動指導などを計画・実践する実習を行います。教育現場に関わる機会は、将来教師を目指す学生にとってかけがえのない経験となっています。
はらぐちあつこ(イラストレーター)
鹿児島大学法文学部法政策学科卒。電力会社勤務を経て、桑沢デザイン研究所ビジュアルデザイン科修了。東京のデザインコンサルティング会社でVI・CIデザイン制作業務の他、歴史絵本制作にも携わる。2015年より峰岸達氏に師事。2020年より福岡市に移住し、フリーランスのイラストレーターとして活動中。
学校現場のニーズに応える
教師教育開発センター開設
2024年4月、鹿児島大学の総合教育機構に、「教師教育開発センター」が開設されました。全学的な教職課程の質保証と高度な専門性を持つ教員の育成を目指す本センターでは、鹿児島県教育委員会との連携を強化し、新時代の教員養成モデルを構築していきます。
教師教育開発センター
設置に至る背景とその目的・役割
設置に至る背景とその目的・役割
鹿児島大学教師教育開発センターは、鹿児島大学で教員免許を取得するすべての学生に対して、教職課程の質を保証し、高度な専門性をもった教員を送り出すために設置されました。
本センターの設置に関しては、「教育職員免許法施行規則等の一部を改正する省令(令和3年文部科学省ませんでした。令第25号)」が公布、施行されたことが背景にあります。教職課程を設置する大学は、全学的に教職課程を実施する組織体制を整備することに加え、教職課程の自己点検・評価を行う仕組みを設けて実施することが義務化されました。これは、教職課程認定基準において、大学間、学部・学科等間での授業科目の共通開設が大幅に緩和されたことを受け、大学が自らの責任で教職課程について自己点検・評価を行い、その結果をもとに改革・改善に努めるとともに、結果を社会に情報公表し、教職課程の質を自ら保証するという内部質保証体制を確立することが必要であるとされたためです。
それまで鹿児島大学では、教育学部・教職大学院が教員養成の専門学部として教育の質保証を進めてきました。一方で、教育学部以外の学部は、それぞれの学位プログラムにおいては教育の質保証には取り組んでいるものの、教員免許の取得は希望者だけであったので、その教育課程については、必ずしも十分な質保証の取り組みがなされておりませんでした。全学的な取り組みとしても、年に数回開催される教員養成カリキュラム委員会にて情報が共有されるというレベルのものでしかありませんでした。
そこで、鹿児島大学としては第4期中期目標・中期計画において、全学組織である教師教育開発センターを令和6年度に設置し、学校教員志望の者を学校現場が必要とする資質を持った学校教員として養成するとともに、学校教員のための履修証明プログラムを開発・提供するなど、学校現場のニーズに応える教員研修及び各種相談業務を行うことを計画に掲げました。
設置にあたっては、その目的を果たすため、教育実践研究部門、教員養成支援部門、教員研修支援部門を置きました。教育実践研究部門では、ICT活用などの教育DX化に関する知見を踏まえた学校現場へのコンサルテーションに加え、教育学部以外の学部に所属している専門分野の教員と附属学校園教員の共同研究をコーディネートしていきます。教職課程に関わる各学部の教員には、学校現場での実践研究が業績として求められているので各学部、附属学校園双方にとって必要な機会を提供していきます。教員養成支援部門では、それまで教育学部に置かれていた教職支援室の拡充を図ります。令和5年度からそれまでの特任専門員1名に代わり、学部の授業も担当できる特任教授を2名配置しました。これにより、教員を目指す全ての学生の相談に乗るだけでなく、教員採用試験対策も充実させることができました。教員研修支援部門では、鹿児島県内の学校や教員への研修機会を提供し、教育課題の解決に資する取り組みを進めていきます。教員不足の解消を図るため、潜在教員(ペーパーティーチャー)が自信を持って教員採用試験を受験したり臨時的任用教員に応募したりできるよう履修証明プログラム(学校教育キャッチアップ講座)を令和5年度からスタートさせました。
今後、教師教育開発センターは、鹿児島県教育委員会と今まで以上に緊密な連携をとって、質の高い教員養成・研修プログラムを提供していくことを目指していきます。具体的には、教員不足の解消をさらに進めていくために、教育学部・教職大学院の教員就職率を向上させる取り組みだけでなく、鹿児島大学全体の教員希望者を増やして、高度な専門性をもった教員を輩出します。また、ICT活用教育や教育DX化への対応、特別支援教育など、現代の課題に対応した公開講座や履修証明プログラムを企画実施することで、教員研修のニーズに応えていきます。
教師教育開発センターへの期待
教師教育開発センターの設置は、鹿児島大学全体の教職課程の質保証を図る上で、画期的なことであると思います。令和3年度の教育職員免許法施行規則の一部改正に伴い、教職課程の授業やカリキュラムの改善のみならず、それを実施する組織的体制の整備や学外の関係機関との連携状況などを毎年チェックし、その改善を図ることが求められています。今後、教師教育開発センターには、大学全体の教職課程を統括し、その充実・発展を図る中核的な役割を果たすことが求められると思います。
近年、教育学部以外の学部では教職課程の履修者が減少し続けています。その背景には、教員の多忙、時間外勤務の多さを伝えるマスコミ報道の影響や、学士課程の質保証のため履修単位数に上限を設けるCAP制の導入の影響などが考えられます。教師教育開発センターには、多くの学生に教師の仕事の魅力を伝えるとともに、大学全体で教職を志望する学生を増やすためのさまざまな企画の実施を通じて、就職率の向上につなげることを期待します。また、これからの時代に求められる教師の資質を身に付けられる新しい教員研修の試みを展開し、その成果が学部の教職課程の改善に向けて還元されることを期待します。
今年度より教育学部に置かれていた教職支援室も本センターの開設に伴い移管され、現在は教育学部生を含め6学部の学生を対象に教員採用試験等に関わる相談や助言、勉強会等が実施されています。年度末には、教育学部の附属教育実践総合センターが閉じられ、その機能の一部が教師教育開発センターに移管される予定です。さらに、来年度からは、教育学部附属中学校にて他学部の教育実習生を一部受け入れる準備が進められています。今後は、教育学部も教師教育開発センターとの連携を強化する中で、様々な事業に参画し、教職課程で学ぶ他学部生への支援も強化していければと考えています。
教育実践研究部門
専門知識と教育実践の統合を通じ、
教師の成長と教育の未来を支える架け橋に
教師の成長と教育の未来を支える架け橋に
鹿児島大学教師教育開発センターの教育実践研究部門は、現代の教育現場が直面する多様な課題に対応するため、専門知識と教育実践を統合させることを使命としています。本部門は、教育学部だけでなく、全学的な教職課程の質保証を推進し、教員養成の水準向上に寄与する目的で設立されました。特に、鹿児島県が抱える教員不足やICTを活用した教育、教育DX(教育のデジタル化)への対応といった課題に対して、研究を通じて解決策を提供し、教育の未来を支える重要な役割を担っています。
教育実践研究部門のビジョンである「専門知識と教育実践の統合を通じ、教師の成長と教育の未来を支える架け橋に」というキャッチコピーのもと、実践的な知識と大学での研究を結びつけ、教員の持続的成長と教育の質の向上を支援します。これは、教育現場で培われた実践的な知識と、大学での専門的な研究を結びつけることで、教員が成長し続ける環境を提供し、教育の質を持続的に向上させることを目指しています。全学的な教員養成においては、単なる資格取得に留まらず、現場での即戦力としてのスキルと知識を育成し、ICT活用や教育DXに関する文部科学省のGIGAスクール構想や総務省のICT普及施策にも対応した取り組みを行っています。
ICT活用や教育DXに対する知見を積極的に学校現場に提供することも、本部門の重要な役割です。GIGAスクール構想やICT普及施策において、ICT活用は「個別最適な学び」と「協働的な学び」の実現に不可欠な要素とされています。しかし、現場の教員にとっては、日常業務の多忙さに加え、ICTを従来の授業に有機的に統合するという新たな課題もあります。この課題に対応するため、ICT活用のハードルを下げることが重要です。特に「変化のスピードが速すぎる」と感じる教員に対しては、実践的なヒントやアイデアを提供し、ICTが本質的に目指す「より良い教育の展開」を支援する必要があります。現場からは「明日からでも使えるICT活用スキル」の提供が求められており、それが教育DXの実現に向けた第一歩です。このニーズに応えるため、本部門ではICT活用スキル向上のための研修やサポートを提供しています。
さらに、教育実践研究部門は、研究と実践の相互作用を一層促進するため、附属学校園や県内の学校、各学部の教員が共同で教育研究を進めるプロジェクトを企画しています。この取り組みでは、大学の各学部に所属する教員と、附属学校園や県内の学校現場で教える教員が共同で研究を進める仕組みを整備し、文部科学省が提唱する「教育実践と研究の連携強化」に基づき、研究成果が教職課程に活かされるだけでなく、現場での指導にも役立つ知見を提供することを目指します。こうした研究は、教職課程の教員に必要な理論と実践の橋渡しとなり、教員養成の質向上に寄与することが期待されます。
教育実践研究部門は、これらの取り組みを通じ、県内の学校園が抱える教育課題に対する実践的な解決策を提案し、地域社会と密接に連携しながら教育の質向上を目指します。ICT活用の支援や、研究と実践の相互作用を促進するプロジェクトを通じて、鹿児島県内の教育現場において持続可能な改善を進め、地域全体の教育の質を高めることに貢献していきたいと思います。
教員養成支援部門
学生一人一人の個性が生きる
教師像をともに考える
教師像をともに考える
教員養成支援部門における「教職支援室」の役割について
今、教員のなり手不足が大きな問題となり、教職に就くことに不安な気持ちを抱える学生が増えてきているようです。教職支援室では、そのような現状をふまえ、教職の魅力だけでなく、学校現場の生の現状や課題、困難の乗り越え方なども同時に伝えながら、学生一人一人に教師になることの意義や自分らしさの出し方などをアドバイスしています。
今教員に最も求められている力は、現場対応力です。それは、知識を身につけるだけでは身に付きません。学校が抱える課題をイメージしながら、謙虚な気持ちで学び続け、誠意ある対応ができる人間に成長することが大切なのです。それは、人柄を重視する教員採用試験合格への最も近道でもあります。教職支援室では、そのことを強く意識した支援を行っています。
現在支援室には、学校現場を知り尽くした実務家教員が二人配置されており、現場対応のプロとして幅広い視野から、学生一人一人の個性が生きる教師像について指導助言を行っています。是非支援室を覗いてみてください。
教職支援室で対応している内容
- 学習会
- 最新の答申や教育振興基本計画などについての理解を深める学習会を毎日4限、教職支援室で実施しています。
- 願書の書き方と面接の受け方
- 教師を志望した動機やめざす教師像など、一人一人の良さを引き出しながら、どう答えたら自分らしく魅力的なのかを助言しています。
- 集団討論の受け方
- 出題された課題について、幅広い視野から考えを整理すると共に、他者の考えを共感的、批判的に捉え、考えを述べ合いながら、集団としての納得解にたどり着く討論の進め方を助言しています。
- 小論文の書き方
- 出題意図を読み解き、自分らしさが読み手に伝わる文章構成や表現方法を助言しています。
- 模擬授業(分かる授業づくり)
- 単元全体を見通した、ねらいの明確なシンプルな授業づくりや、子供の見取り方などを助言しています。
- 教育学部 三原 瞳
- 教職支援室では、同じ教職希望の学生や進路に悩んでいる学生と交流ができます。私自身、交流を通して自分の教師観や進路について考えが深まっていきました。教職に就こうか悩んでいる人こそ教職支援室へ行ってほしいです。
- 教育学部 金子 俊太
- 支援室では、複数の自治体の試験対策を並行して進め、教職への理解を深めることが出来ました。同じ志を持った仲間との出会いや交流は、想像以上に大きな心の支えになりました。合格後も踏まえた学びになる点でもオススメです。
- 法文学部 別府 明稔
- 支援室を初めて利用したとき、もっと早く来ればよかったと思いました。実務経験者が対応してくださるので、教職を目指すあなたの力になること間違いなしです。教職に関する疑問や不安がある人はぜひ訪れてみてください。
- 農学部 上牧 千笑
- 学習会により、農学部では学べない教育現場の実状も知ることができました。同じ志を持つ仲間との対話を通じて不安が減るとともに、アウトプットや意見交流の場があることで、普段の情報収集や座学への動機にも繋がりました。
- 理学部 濱元 利紀
- 教職支援室では、2次試験対策として面接や討論の練習ができるだけでなく、教員になってから役立つ知識も学ぶことができます。また、他分野の人と話をして学べることもたくさんあるので、ぜひ活用してみてください。
教員研修支援部門
最新の学習指導要領に基づく
科目60時間の講習
科目60時間の講習
教員研修支援部門が中心となって取り組んでいる事業が「学校教育キャッチアップ講座」です。この講座は、潜在教員(ペーパーティーチャー)や再任用教員の方々を対象に、学校教育の最新動向を理解し、教職の基本を再確認していただく機会を提供することで、自信を持って教壇に立てるよう支援するものです。県教育委員会の委託事業として開始された本講座ですが、センターとしても教員不足という地域の喫緊の課題解決に貢献できる重要な事業と捉え、企画・運営に精力的に取り組んでいます。
近年、社会の急激な変化に伴い、学校教育の現場も大きく変わりつつあります。中でも最も急激で大きな変化に、GIGAスクール構想による1人1台端末環境の整備があります。潜在教員の中には、自身が教員免許を取得した当時と現在の学校環境とのギャップに戸惑いを感じておられる方が多数いらっしゃいます。そういった不安を解消するため、本講座では、学校現場で広く使われている授業支援クラウド「ロイロノート・スクール」を全ての講義で活用しています。科目内容として教育の情報化について学ぶだけでなく、児童・生徒が使うシステムを実際に使用することで、受講者はICTの操作方法や活用法にも習熟することができるという仕組みです。
講座は10科目60時間あり、最新の学習指導要領の内容を踏まえた授業案づくりや事例検討、タブレット端末を用いた演習など、専門的・理論的知見から授業に直結する実践的内容まで、幅広くカバーできる構成となっています。講師は主に鹿児島大学教職大学院・教育学部・附属学校の教員が務め、受講者からは、現職の先生方に直接、学級運営や各教科等の指導法、また教師の働き方などについて話を聞ける点も好評をいただいています。
昨年度の5月に開始したばかりの本講座ですが、修了者には教員採用試験に合格し、すでに正規教員として働き出した方もおられます。修了者からは、「学ぶことの楽しさを久しぶりに感じることができ、今後の生き方について前向きに考える機会となった」「教員免許を取得してから何十年も経った自分でも、今の現場の様子がとてもよく分かり、教採にチャレンジする勇気をもらった」などの声をいただいており、手応えを感じています。今後も受講された方々の意見を参考に改善をはかり、実際のニーズに応えていきたいと考えています。
実践的な学びが役立ちました
これまで講師として働いていましたが、子育てが一段落したこともあり、教員採用試験に挑戦しようと本講座を受講しました。大学生以来の集中講義に当初は不安もありましたが、同じ志を持つ仲間たちと学ぶ時間は、とても充実したものでした。特に、附属小学校の授業動画を視聴しながらの講義では、授業の進め方や子どもたちとの接し方について質疑を交えながら学ぶことができ、非常に参考になりました。
学校の教育事情や学習指導要領が変化していく中、講義を通じて最新の理論を理解し演習を積んだ内容は、現場ですぐに活かすことができます。受講者は年齢も職業もさまざまでしたが、それぞれが講座を受けて自信を深めていました。
近年、教員不足が叫ばれていますが、学校現場では業務改善が進められ、働きやすい環境づくりが進んでいます。「学校の先生」は、子どもたちの成長を実感できる魅力的な仕事ではないでしょうか。私も、この講習で学んだことを取り入れながら、新たな勤務先でも一期一会を大切にしていきたいと思います。
鹿児島大学で取得できる教員免許
鹿児島大学では、6学部(法文学部・教育学部・理学部・工学部・農学部・水産学部)3研究科(人文社会科学研究科・教育学研究科・理工学研究科)で教員免許を取得可能です。
なかでも各学部では、各学校種の一種免許状を取得可能であり、その教科や領域は以下の表に示すとおりです。
学部 | 学科等 | 取得可能な教員免許 または 領域 | |
---|---|---|---|
学校種 | 免許教科 | ||
法文学部 | 法経社会学科 | 中学校 | 社会 |
高等学校 | 公民・商業 | ||
人文学科 | 中学校 | 国語・英語・社会 | |
高等学校 | 国語・英語・地理歴史・公民 | ||
教育学部 | 学校教育教員養成課程 | 幼稚園 | |
小学校 | |||
中学校 | 国語・社会・英語・数学・理科・技術・家庭・音楽・美術・保健体育 | ||
高等学校 | 国語・書道・地理歴史・公民・英語・数学・理科・工業・家庭・音楽・美術・保健体育 | ||
特別支援学校 | 知的障害者、肢体不自由者、病弱者 特別支援学校教論一種免許状(知的障害者に関する教育の領域、肢体不自由者に関する教育の領域、病弱者に関する教育の領域)を取得するためには、小学校教諭一種免許状または希望教科の中学校教論一種免許状を基礎資格として取得する必要があります。 |
||
理学部 | 理学科 | 中学校 | 数学・理科 |
高等学校 | 数学・理科・情報 | ||
工学部 | 先進工学科 | 高等学校 | 工業 |
農学部 | 農学科 | 高等学校 | 農業 |
国際食料資源学特別コース 農学系サブコース |
高等学校 | 農業 | |
水産学部 | 国際食料資源学特別コース 水産学系サブコース |
高等学校 | 水産 |
水産学科 | 中学校 | 理科 | |
高等学校 | 水産・理科 |
※幼稚園,小学校、中学校、高等学校、特別支援学校の教諭になるには、学校種ごとの教員免許状が必要です。
※中学校と高等学校は教科ごとの免許状に分かれます。
※学部や学科によって、中学校と高等学校の両方の教員免許状が取得できる場合と、高等学校の教員免許状に限られている場合があります。
- 教職に就くか迷っています。いつから何をすればよいかもわかりません
- 教職に就くかどうかも含め将来設計についてまずは支援室を訪ね語ってみませんか?支援室での学びは教職をイメージした内容が中心ですが、様々な進路の面接に役立ちますので利用してください。教職に就くかどうかは教職の良さや厳しさを知った上で判断してください。しかし、教員採用試験の早期化など、試験の機会や時期が多様化しているので、教職を目指す場合は早めの準備と柔軟な対応が必要です。
- 教職に就きたいとは思っていますが、どの校種に向いているのかがわかりません
- 模擬授業や場面指導の練習をしてみると、どの校種が向いているのか、気づくことができるかもしれません。教職支援室は2人のスタッフで運営しています。小学校、中学校での勤務経験に加え、教育行政での指導経験も生かして、様々な角度からアドバイスしています。
- 日々の授業や卒論と教採の試験勉強を両立させるにはどうすればよいですか
- 今年の4年生は、試験までは,試験勉強に比重を置き、試験終了後は卒論に比重をスライドさせるなど、メリハリある学びにしていました。大学での学びは、取得免許の種類や数によっても大きく異なりますので、教職支援室では、個々のニーズや内容、ペースに合わせた学びに対応しています。講義、サークル、アルバイト、ボランティア等の時間を調整してゆとりある学びを計画しましょう。
「体育・健康科学理論」/共通教育センター
初年次教育 体育・健康 川畑 和也 助教
健康的な行動を習慣にする
大学での充実した生活と、生涯にわたる豊かで健康的なライフスタイルの基盤となる健康についてを学ぶ「体育・健康科学理論」。この講義では、身心の基本的な機能やその適応能力を理解し、運動、栄養、休養という3つの側面から健康づくりに必要な知識を深めていく。現代日本人が直面する健康問題の対処法とは。全8回の講義の1回目、「オリエンテーション/健康とは」の教室を覗いてみた。
健康とは何か
「体育・健康科学理論」は鹿児島大学の1年生全員が受講する必修の初年次教育科目。若く健康なときは意識することは少ないが、年齢とともに身体機能が衰えても健康で過ごすために今から何ができるのか、学生たちに知ってもらうための講義だ。背景には現代日本人が抱える生活習慣病などの健康問題があり、川畑先生は「この講義を通じて健康的な生活スタイルを意識し、実践してもらいたい」と、健康的な生活習慣を身に付けるところまでを目的としている。
講義序盤、「健康とは何か」との問いに、学生たちからは「生活のリズムが整っていること」「心身ともに正常な状態」などさまざまな回答が寄せられた。世界保健機関(WHO)によると、健康とは「単に病気や虚弱でないということではなく、肉体的、精神的、社会的にも、全てが満たされた状態にあること」との教室を覗いてみた。定義されている。しかし、「全てが満たされている状態」は、理想的ではあるものの現実的ではないとの考え方もあり、講義では、ここでリオパラリンピックの映像を用いて、怪我や障害など「肉体的健康」が満たされていなくとも生き生きとした人生を送ることができるとの見方を示す。
健康寿命を伸ばすために
講義の途中、学生たちと川畑先生とのジャンケンゲームが始まった。先生の出す手の形を見てから、学生たちは勝つ手を後出しする。次は、反対に負ける手を後出し。単純ながら、うっかり間違いそうになるゲームを続けるうちに笑い出す学生たち。「講義中に体を動かす時間を取り入れたり、自宅で一人でもできるストレッチなど実践につながりやすい運動を紹介したり、運動のハードルを下げることを意識しています」と川畑先生。こういったゲームをすることも運動であり、笑顔になることも一種の運動だという。
若いときの生活習慣は、その後の人生の生活習慣を方向付けることが多い。日本人の平均寿命は男性81.41歳、女性87.45歳だが、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる健康寿命は男性72.68歳、女性75.38歳(厚生労働省「令和元年簡易生命表の概況、健康寿命の令和元年値について」より)と、それぞれ大きな開きがある。年齢を重ねても自分らしさを保ち、生き生きと生活できる期間を伸ばすためには、若いうちから「毎日、朝食を食べること」「十分な睡眠」「栄養バランスを考えた食事」「定期的な運動習慣」などの体にやさしいライフスタイルを心がけることが大切になってくる。
自分の体を知ろう
ヘルス(健康)は、よりよい人生を送るための基盤であり、それを踏まえて目指すところが「豊かな人生・輝いている人生・自己実現」の状態であるウェルネスだ。自身の豊かな人生をデザインし、自己実現を可能にするための健康づくりは、まず現在の自分の体を知ることから始まる。
講義中、学生たちは、体重と身長から算出される体格指数(BMI)をもとに自分の適正体重を把握していく。ただし、BMIは見た目の体格を表す要素が強いため、BMIが適正であっても筋肉が少なく脂肪が多い「スキニーファット」状態も考えられるという。健康維持のためには、体脂肪率にも注意しつつ、どのような生活をするべきか考えていかなければならない。ここで必要となるのが、消費カロリーと摂取カロリーについての知識であり、「運動」と「栄養」と「休養」の3要素のバランス感覚だ。
最終的に健康的な習慣づくりを目標にしているため、先生は講義のたびに「どのくらい歩いたか」を問いかけたり、「どのくらい食べればいいのか」の基準を伝えたりするほか、学生一人一人とレポートを通じての細やかなコミュニケーションを心がける。「そうすると、実際に歩く距離が増えたりするんです。そういった行動変容が友人や家族にも広がっていくことを期待しています」。
桑の葉に含まれる成分「フィセチン」が血管の異常収縮を予防することを発見
〜宮園製茶との共同研究で特許を取得・桑の葉を使った商品を開発〜
加治屋 勝子 研究教授
農学部農学科 食品生命科学プログラム
500種類超の食材から
桑の葉にたどり着く
人間の体は細胞が集まってできています。その一つ一つの細胞に酸素や栄養を行き渡らせる重要な役割を担っているのが血管です。 たとえ血液がサラサラでも、血管が硬ければさまざまな病気を引き起こしてしまいます。
私たちの研究は、血管の健康を維持するために役立つ食材を見つけることがテーマであり、血管の柔軟性を保ち、血液の流れをスムーズにする効果に注目しています。食材が血管に与える影響の検証方法として、人間の血管細胞を培養し、さまざまな食材のエキスを添加して細胞の反応を評価しています。これまでにニンジンやトマト、桜島大根など500種類を超える食材を試してきた中で、桑の葉のエキスに血管の異常収縮を予防する高い効果があることを見つけました。
血管は、内膜中膜、外膜の3層構造になっていて、中膜を構成する平滑筋の収縮と弛緩によって血液を循環させています。血管の収縮が正常に行われない異常収縮は、脳梗塞や心筋梗塞といった深刻な病気から、偏頭痛、めまい、肩こりなど、日常生活に支障をきたす症状を引き起こす可能性があります。
なぜ桑の葉が血管の異常収縮を予防できるかを調べたところ、桑の葉に含まれる「フィセチン」という成分が平滑筋に作用していることが わかりました。フィセチンはイチゴやリンゴにも含まれていますが、今回の研究で使用した桑の葉には、イチゴの約100倍のフィセチンが含まれています。
桑の葉から見えてくる
地域農産業の可能性
桑の葉は、食物繊維がゴボウの約9倍、ビタミンEはモロヘイヤの約10倍、鉄は小松菜の約16倍と非常に栄養価が高く、昔から漢方薬として飲用されてきた歴史があります。かつては鹿児島県でも養蚕業が盛んだったため、カイコのエサとして桑の葉が栽培されていました。しかし、現在ではその多くが利用されずに放置されている状態です。
この研究は、2018年から薩摩川内市の宮園製茶さんと共同で行っています。私たちは血管の病気を予防できる食材を探していますが、今回の研究成果により、桑の葉が機能性表示食品や健康食品に使えるようになれば、地域農産業の活性化にもつながります。桑の葉は他の農産物に比べて栽培が比較的容易で収穫期間が長いため、新しい農産物としての可能性も広がっていくでしょう。これまでにもお茶やパウダーなどの加工品が販売されていましたが、現在ではアメや洋菓子などさらに商品開発が進んでいます。
得られた研究成果を
多くの人に届けたい
フィセチンによる血管への作用は、摂取してから効果を発揮するまでに時間がかかり、治療薬のような即効性はありません。そのため、普段から食生活に取り入れることで病気の発症を抑えることが大切です。ただし、桑の葉だけ食べていれば血管が健康になるというものではなく、やはり、多くの種類の食材をバランスよく食べることが全身の健康維持には欠かせません。
今回、桑の葉の新たな効能を発見することができましたが、そこに至るまでは何百何千の食材を一つ一つ検証していく地道な過程があります。だからこそ、ようやく得られた研究成果は多くの方に届けていきたいですね。私たち自身も情報を発信していかなければなりませんが、生産者や企業と連携して商品開発を行い、健康のための選択肢を提供していくことも大学の研究者の役目ではないかと思っています。
- 研究のポイント
-
- 血管の健康を維持する成分を見つけることに焦点を当て、さまざまな食材を一つ一つ検証していく。
- 血管の健康に作用する食材とその成分を発見し、作用の仕組みを明らかにする。
- 病気を予防する食材の効能を発信し、企業と共同で健康食品等の商品を開発することで健康維持のための選択肢を増やす。
加治屋 勝子(かじや・かつこ)研究教授
2004年3月 静岡県立大学大学院生活健康科学研究科博士課程修了、博士号取得。2004年4月~2013年8月 山口大学医学部にて助手、助教、講師を経て2013年9月に鹿児島大学農学部に着任。講師、准教授を経て2022年7月に研究教授の称号付与。現在に至る。
■所属学会:日本農芸化学会、日本フードファクター学会、日本生理学会、日本平滑筋学会、American Chemical society等
■研究分野:食品栄養科学と生理学を融合した健康科学。「血管の健康」に関わることであれば、食品だけではなく化粧品や飼料に関することも研究している。
応援している研究者
愛知医科大学 医学部 生理学講座
山村 彩(やまむら・あや)講師
加治屋勝子先生と私の共通点は、健康で元気な血管を維持するための研究をしていること、そして、子育て真っ最中の女性研究者であることです。私の研究のメインテーマは、女性に多い難病「肺高血圧症」です。肺高血圧症は、心臓から肺へ向かう血管が狭くなるため、軽い運動でも息切れや呼吸困難といった症状が現れます。薬代も非常に高く、完全に治すことがまだ難しいという現状があり、私は「どうして女性が肺高血圧症にかかりやすいかを明らかにしたい!」「新しい肺高血圧症の薬を作りたい!」を目標に、日々奮闘して研究しています。
黒潮の水温上昇と南九州・南西諸島地域の梅雨期の降水強化との関与を解明
〜近年40年間のトレンドを検出し、梅雨期の気候変化予測の精度を上げる〜
中村 啓彦 教授
水産学部水産学科 水圏科学分野
世界最大規模の暖流
黒潮研究をリードする
黒潮は、フィリピンのルソン島沖から始まり、トカラ海峡から太平洋に入り、日本の南岸に沿って流れる世界最大規模の暖流です。私たちの研究グループは、主に黒潮の流れの変化を計測し、それに伴う海の水温や塩分の変化など物理的な状態を研究しています。この研究の大きな目的の一つが、黒潮が気候や海洋生態系に与える影響を理解し、その役割を解明することです。
東シナ海は、ほとんどが深さ200m未満の広大な大陸棚で、南西諸島の西側に沿って深度約2000mに達する沖縄トラフがあります。この辺りには黒潮を中心にした分岐流がいくつかあり、それぞれの物理的状態を計測するために、鹿児島大学水産学部附属練習船「かごしま丸」を使っています。
かごしま丸は、5000mを超え深海までの水温や塩分の測定が可能な計測装置などを搭載した外洋域対応の練習船です。鹿児島大学かごしま丸を所有していることは、外洋観測能力、国際的な共同研究、教育面において大きなアドバンテージであり、黒潮研究をリードしていくことは鹿児島大学の使命でもあると感じています。
黒潮の水温上昇と北上で
梅雨前線が活発化
黒潮の流速は毎秒1m超と非常に速く、その威力は海のかなり深いところまで及んでいます。暖流であ黒潮の熱は大気に大量に放出されるため、日本の気候システムにも密接に関わっています。私たちは、東シナ海上の梅雨期の降水について過去40年間の変動傾向を解析し、その結果、東シナ海の黒潮流域の水温上昇が南九州・南西諸島地域の梅雨期の降水を強化している事実を発見しました。
日本では、夏が近づくと南から湿った空気が北上し、北の寒気とぶつかって梅雨前線を作ります。このとき、黒潮の熱と水蒸気によって梅雨前線の活動が活発化しますが、黒潮の水温は過去40年間で約1度上昇しています。水温が高まると大気中に供給される水蒸気が増加し、その水蒸気が雲になる際の潜熱放出によってさらに積乱雲が発達します。また、人工衛星のデータから九州南西部の黒潮の位置が徐々に北にずれてきていることも確認されています。黒潮の北上によって、昨今、九州南西部では梅雨前線が活発化しやすくなっていることが指摘できます。
1980年から2020年にかけての6月の降水量は2倍に増加しており、そのうち約25%が黒潮の水温上昇に直接起因しています。
線状降水帯発生予測の
精度向上を目指す
梅雨期の東シナ海上の空気塊が地球温暖化によってどのように変化しているのかを把握することは、将来の九州地方の気候変化を予測する上で極めて重要です。しかし、大気と海洋の相互作用の研究は歴史が浅く、日本近海の海が大気にかなり強い影響を与えているということが分かり始めたのは割と最近のことなのです。
近年、梅雨期に線状降水帯予報が報道されるようになりました。発生すれば甚大な被害をもたらす線状降水帯ですが、その正確な予測は難しく、詳細な発生メカニズムについての研究が進められています。2022年、かごしま丸は、長崎大学と三重大学、そして気象庁の船とともに、黒潮が降水量の増加に関与する現象を調査する日本初の大規模観測を行いました。そこで得られたデータは現在も解析を続けていて、総力戦で線状降水帯の予測精度の向上を目指しています。
- 研究のポイント
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- 世界最大規模の海流である黒潮の物理的な状態を研究し、黒潮そのものを理解する。
- 東アジアの中での海洋環境や海洋生物資源などに黒潮が与える影響を理解する。
- 地球温暖化による黒潮の変化と気象との関連を分析し、今後の気候変化の予測精度の向上に生かしていく。
中村 啓彦(なかむら・ひろひこ)教授
1995年9月 北海道大学大学院理学研究科 博士課程(地球物理学専攻)修了 博士(理学)取得、1995年10月 科学技術特別研究員(海洋科学技術センター、現海洋開発研究機構)。1996年4月 鹿児島大学水産学部 助手、2005年4月 同大学同学部 助教授、2016年5月 同大学同学部 教授。
■所属学会等:日本海洋学会、日本地球惑星科学連合
■研究分野:専門は海洋物理学です。東シナ海の黒潮を主要な研究対象として、観測と理論の両面で研究をしています。観測では、水産学部附属練習船「かごしま丸」を利用して、複数の国内・国際共同研究を実施してきました。近年は、海洋物理学の応用研究として、黒潮が日本周辺の気候に与える影響、黒潮が鹿児島県海域の水産資源に与える影響の研究にも力を入れています。
共同研究者メッセージ
鹿児島大学水産学部 特任研究員
喬 煜翔(Yu-Xiang Qiao)
私は中国からの留学生です。2018年に鹿児島大学大学院水産学研究科修士課程に入学し、中村先生の指導のもと、「黒潮の経年・十年規模変動と北太平洋の大気変動との関係」の研究を始めました。博士課程進学後も研究を続け、黒潮の水温上昇が梅雨期の降水量増加に影響することを発見しました。一般的な説では、モンスーンの強化が中緯度地域への水蒸気の輸送を増加させ、その結果、降水量が増加すると考えられていますが、私たちは「黒潮の水温上昇も降水量の増加に重要な役割を果たしている」と提案しています。
水急不流月(みずきゅうにして つきをながさず)
環境に順応しながらも自分の信念はしっかりと
理系から文系の学部への編入に加え、教職課程の履修など、とにかく忙しくて学生生活の思い出はほとんどないと振り返る小薗さん。「物の見方が広がり、精神的にも成長を実感した2年間。何ひとつ無駄なことはないと学びました」。卒業後は高校教師となり、高校野球の監督を経て、株式会社ぶるぺんを創業。小薗さんが開発した自社ブランドのだしを使った弁当・総菜が並ぶ「ぶえん亭 鹿大前店」は、鹿大生や地元住民がひっきりなしに訪れる人気店です。野球部の監督として選手たちに人一倍の情熱を注いできた小薗さんが、料理に携わるきっかけとなったのが、野球部の寮生の食事。「バランスのとれた、おいしい、家庭の味をお腹いっぱい食べさせたいという思いが、今のお弁当づくりにつながっています」。
実業家として活躍する一方、枕崎高校野球部の監督を長年務めた小薗さん。現在は、薩摩おいどんカップ実行委員長として、鹿児島の競技力向上と野球の普及に尽力しています。姶良市で長年キャンプを張る亜細亜大学の生田勉監督が鹿児島に恩返しをしたいと、大学・社会人・プロのカテゴリーを越えた交流戦の構想を持ち、それに応える形で小薗さんが有志で実行委員会を立ち上げました。「強豪チームによるハイレベルな試合を目の前で見ることは、子どもたちにとって良い刺激に。おいどんカップは単なる野球大会にとどまらず、地域社会や野球界全体に多くのポジティブな影響を与えます。当初は想定しなかった盛り上がりを見せ、コンテンツとしての力を感じています」。野球の未来のために鹿児島からチャレンジを続ける小薗さんです。
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課題解決型インターンシップ キャリア実習 事前講座を開催
6月26日事前講座「鹿児島が抱える地域課題の理解」の様子 7月6日事前講座「トヨタ生産方式を用いた課題解決の方法と体験」の様子 キャリア形成支援センターでは、令和6年度の「地域キャリア・インターンシップ/地域キャリア実習およびかごしま課題解決型インターンシップ/キャリア実習」(以下、課題解決型インターンシップ)に参加する学生を対象に、計8回の事前講座を開催しています。当センターが取り組む課題解決型インターンシップは、県内企業や自治体と連携し、地域の現状や可能性について理解し、協働して地域課題の解決に取り組む10日間のインターンシッププログラムです。令和6年度の課題解決型インターンシップは、県内の企業や自治体から28のプログラムを提供いただき、61名の学生が、取り組みたい課題テーマや現場で身につけたいビジネススキルを考慮し、実習先の選定を行いました。
事前講座のうち、地域で活躍する2名の社会人をゲスト講師に迎えた回では、「鹿児島が抱える地域課題の理解」として枕崎市での取り組み事例を学んだほか、実習でより充実した成果を出すために、「トヨタ生産方式」の視点を用いた課題の可視化や真因特定のプロセスをグループワーク形式で学びました。
参加した学生からは、「日本各地に地域課題があり、私たち学生が自分事として考えなければならないと感じた。枕崎市はカツオやお茶の産地として有名だが、それ解決の方法と体験」の様子でも人口流出などの地域課題を抱えている。そうした中、地域の魅力を伝え、理解してもらうことで人口流入のきっかけを作ろうとするさまざまな施策があることに感銘を受けた」「ちょっとしたアイデアで仕事の出来を格段に改善できることに気が付いた。自分たちのチームでは作業を短縮することばかりに意識が向いていたが、他のチームから、工程の順番を変えただけで効率が上がったという意見を聞いて驚いた。仕事に置き換えても、視点の偏りによって意外なところに転がっている解決策を見落とさないよう、周囲の人に考えを仰ぐ、一旦時間を置き引いて考えるなど、多様な視点で物事をとらえることを意識したい」といった声が聞かれました。
今年度の課題解決型インターンシップは、8月19日から順次それぞれの受入先で実施されました。
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今枝宗一郎文部科学副大臣が鹿児島大学を視察
病院視察の様子 大岡准教授と意見交換の様子 7月31日、今枝宗一郎文部科学副大臣と文部科学省高等教育局医学教育課の俵幸嗣課長が鹿児島大学大学院医歯学総合研究科および鹿児島大学病院に視察のため来学されました。
はじめに、学内施設の視察が行われ、令和6年9月に開院する鹿児島大学病院新外来診療棟(A棟)をご覧いただきました。新外来診療棟では、8階のHCU(高度治療室)やデイルーム等をご覧いただきながら、坂本泰二病院長および又木雄弘副病院長からA棟開院についての説明を受けられました。
次に、令和4年度鹿児島大学ベストティーチャー賞を受賞された医歯学総合研究科微生物学分野の大岡唯祐准教授と、講義および実習に関する工夫や基礎医学研究者の育成に係る取り組みについて意見交換が行われ、今枝副大臣は、大岡准教授の取り組み内容に深く感心されていました。
続いて、佐野輝学長、井戸章雄理事、橋口照人医歯学総合研究科長、大脇哲洋医学部長、後藤哲哉歯学部長および坂本病院長と懇談され、冒頭では、佐野学長から中村晉也名誉教授が制作した「若き薩摩の群像」のうちの一人である森有禮初代文部大臣の話題がありました。また、大脇医学部長から鹿児島大学の主な教育施設と医学部の地域医療教育について説明があった後、佐野学長から鹿児島大学の各種教育関係施設維持の状況説明や地域特性を生かした教育研究など地域とともにある本学の取り組みについて説明を行いました。今枝副大臣や俵医学教育課長からは、教員評価や特色ある大学の取り組み等について質問があり、活発な意見交換が行われました。
その後、俵医学教育課長は、下堂薗恵副医学部長(医歯学総合研究科リハビリテーション医学分野教授)の案内のもとリハビリテーション施設を視察され、超急性期から回復期までのリハビリテーションの提供について説明を受けられました。
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奄美自然プログラムを実施
~県内外小中学生が奄美大島固有の自然を体験~現地の児童とドローンの操縦体験と海岸観察。 研究者たちと一緒にスケッチ記録や図鑑を使って調べ学習中! 8月19日から21日にかけて「奄美自然体験プログラム」を実施しました。同プログラムは、児童・生徒の自主的な学びと課題解決能力の向上を図るとともに、科学への興味をもってもらうことを目的としたもので、県内外の小学4年生から中学2年生とその保護者17人が参加しました。
あやまる岬にて、奄美の海と磯の生きもの観察。 マングローブ林に囲まれた川は奄美の自然のパワーを感じました。 参加者は、期間中、奄美の亜熱帯多雨林やマングローブ林、磯、干潟のフィールドにおいて、鹿児島大学の総合研究博物館、国際島嶼教育研究センター、教育学部、理学部及び水産学部の研究者や学生ボランティアから説明を受けながら、奄美の植物、生物や自然について観察しました。参加者からは「生き物好きな子供ですが、森を散策して先生とお話をする事で植物や樹木へも興味が大きく広がる3日間だった」「どのプログラムも、とても興味深く本当に素晴らしい経験をさせて頂く事ができた」といった感想が聞かれ、世界自然遺産の奄美大島固有の多様な自然を体感することで科学への興味を大いに深める機会となりました。
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インドネシア アンダラス大学長一行が学長を表敬訪問、大学間学術交流協定を更新
アンダラス大学は、1956年にインドネシア西スマトラ州の州都パダンに設立された国立大学であり、本学とは2003年に大学間学術交流協定を締結して以来、農学部を中心に学生交流や共同研究で協力してきました。
調印式では、アンダラス大学から、Syukri Arief学務担当副学長、Erizal Mukhtar生物学博士研究プログラム長、本学から、郡山千早副学長(国際担当)、坂巻祥孝農学部教授、鵜川信農学部准教授、田金秀一郎総合研究博物館准教授が同席するなか、最初に佐野学長から歓迎のあいさつがあり、その後、両学長が協定書に署名しました。最後にYonnedi学長が謝辞を述べられて調印式は終了しました。
また、調印式後、一行は橋本文雄総務担当理事、岩井久企画・社会連携担当理事と面会したほか、総合研究博物館及び唐湊果樹園を訪問し、数多くの考古学資料や生物標本、果樹園芸の技術、ロボット草刈り機による除草作業等を興味深く見学していました。
今回の協定更新を機に学生交流や共同研究のより一層の活性化が期待されます。
令和5事業年度財務諸表を文部科学大臣承認
国立大学法人は、国から負託された業務の実施に関して財務情報に基づく財政状態や運営状況に関する説明責任を果たすため、財務諸表を作成し公表することとされており、令和5事業年度財務諸表が令和6年8月30日付けで文部科学大臣から承認を受けました。
令和5事業年度の財政状態は、資産が1,572億円、負債が570億円、純資産が1,001億円となっており、運営状況は当期総利益は26億円となっております。詳細は、本学ホームページに財務諸表及びわかりやすく表記した「財務諸表の概説」等掲載しております。
業務の効率化等による経費節減や自己収入等の増加を図るなど、より一層の財政基盤の強化を進めていくとともに、教育・研究・診療・社会貢献活動等の更なる充実・向上に努めて参ります。
株式会社 富士通鹿児島インフォネット
- 貴社の業務やSDGsへの取り組みなどについて教えてください
- 当社は富士通グループの一員として、鹿児島を起点に全国のお客さまや社会の課題をICTで解決しています。例えばエネルギー分野において、最適な電源調達を可能とするソリューションを提供しており、環境負荷軽減の観点でSDGsへ貢献しています。
- 本学の学生に向けて応援メッセージをお願いします!
- 鹿児島大学で培った知識や経験は、これから始まるみなさんのキャリアの礎となります。これからも「己」を磨き、「自分らしさ」を常に大切にしながら、社会で活躍する第一歩を踏み出し、何事にも恐れずチャレンジしてください。
アンケートに答えて
鹿児島大学オリジナルグッズをGET!
今後のよりよい誌面作りのため、皆様からのご意見・ご感想をお寄せください。アンケートにご協力いただいた方の中から抽選で5名様に『鹿児島大学オリジナルグッズ3点セット』をプレゼントします。
こちらのフォームからご応募ください。
[アンケートにおける個人情報の取り扱いについて]
ご提供いただいた個人情報は、プレゼントの発送以外には使用いたしません。
鹿大「進取の精神」支援基金へのご寄附のお願い
鹿大「進取の精神」支援基金は、2015(平成27)年の一般資金創設から、趣旨にご賛同いただいた多くの皆様方からご支援をいただき、現在では、修学支援事業基金や学部等支援基金*などの特定資金を加え、本学の教育・研究活動充実のため、大切に活用させていただいております。一般資金には、ご不要となりました本などの物品をご提供いただき、その査定金額をご寄附いただくリサイクル募金もございます。皆様からのご支援をお待ちしております。
【お問い合わせ先】
鹿児島大学総務部総務課広報・渉外室基金・渉外係
TEL:099-285-3101
*学部等支援基金:歯学部・鹿児島大学病院・練習船・医学部学科教育・教育学部附属学校園・動物病院・工学部教育研究支援基金・SKLVセンター基金・農学部基金
鹿児島大学医学部 3年一原 愛心さん
ホワイトリボンラン拠点運営を経験
「自分のために走ることが、誰かのためになる」
女性の健康と権利の大切さを伝える運動のシンボルマーク『ホワイトリボン』。1999年にアメリカで誕生し、すべての女性が自分らしい生き方を自ら選択できるよう、国を超えて活動を広げています。ホワイトリボンの支援の輪を広げることを目的とした、NGO法人ジョイセフ主催のチャリティアクション『ホワイトリボンラン』は、3月8日の国際女性デーに向けて〝走ろう。自分のために。誰かのために。〞というスローガンを掲げ、全国各地で参加者が同じTシャツを着て世界の女性のために走ります。エントリー費用は全額寄付され、世界の女性の命と健康を守る活動に使われます。
一原さんがホワイトリボンを知ったのは、総合的な学習の時間(探求学習)。鹿大に入学後はホワイトリボンランの拠点運営に参加し、昨年は代表を務めました。「参加者やボランティアスタッフの募集もホワイトリボンの周知活動もすべて自分たちで。参加者が楽しく走れるよう、今回初めてヨガとメイクアップの時間を設けました。準備が大変だった分、達成感は格別です」。将来は地域社会に貢献する総合診療医になりたいと話す一原さん。「ホワイトリボンランを通じて、より健康に関心を抱くように。患者さんの全体的な健康状態を考慮した治療を提供するため、現在は東洋医学も勉強中です」。
私の座右の銘
Yes, and
相手のアイデアや意見、感情、状況を一度すべて受け入れ(「Yes」)、そのうえで自分のアイデアや意見を追加する(「and」)コミュニケーション手法です。普段の生活はもちろん、拠点運営の際も意識しました。
絆を深め乗り越える
- 馬術部とは?
- 障害物を飛び越える障害飛越、馬の動きや姿勢を美しく見せることを目的とした馬場、自然の地形を利用した障害物を超えるクロスカントリーを行う競技です。
- 馬術部の魅力は?
- 自分1人ではできない競技なので、いかに馬との信頼関係をつくるか、どのようにして一緒に課題を乗り越えるか考えなければならないところが魅力です。
- 活動内容について教えてください。
- 毎日朝の練習・週一回の当番で餌やりを行っています。日々馬の体調や怪我に気をつけながら、全国大会出場を目標に技術の向上を図っています。
DATA ※2024年10/4 時点
- 部員数
- 28名[男11名・女17名]
- 活動場所
- 鹿児島大学内馬場
- 活動日時
- 毎日 6:00~授業前
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