CONTENTS
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特集
温故知新
法文学部附属
「鹿児島の近現代」教育研究センター開設 -
学びの部屋 ~誌上講義室~
「韓国語入門I」
共通教育センター
外国語教育部門
鄭 芝淑 准教授 -
Research&Contribution ~鹿大の研究~鹿児島大学病院 脳・神経センター脳神経内科
樋口 雄二郎 助教
教育学部実習地 技術専門職員
中野 八伯 さん -
OBOG interview ~卒業生メッセージ~NPO法人
桜島ミュージアム 理事長
福島 大輔 さん -
KADAI TODAY
陸上競技部が学長へ全日本大学駅伝対校選手権大会出場を報告
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鹿大トピックス
令和4年度卒業式・修了式を挙行
鹿児島県と寄附講座「感染症専門医養成講座」の設置に関する協定書を締結
ほか -
with KU ~パートナー企業紹介~株式会社 大進
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Growing! ~鹿大生の横顔~鹿児島大学医学部医学科 6 年
土元 香菜子 さん -
CircleFlix ~サークル紹介~端艇(カッター)部
今号の表紙 「満天の星空」
VERA入来観測局は、薩摩川内市にある、鹿児島大学の入来牧場内に設置されています。国立天文台と鹿児島大学が連携し、鹿児島大学の研究者や学生がVERA入来局での観測や運用を担っています。
はらぐちあつこ(イラストレーター)
鹿児島大学法文学部法政策学科卒。電力会社勤務を経て、桑沢デザイン研究所ビジュアルデザイン科修了。東京のデザインコンサルティング会社でVI・CIデザイン制作業務の他、歴史絵本制作にも携わる。2015年より峰岸達氏に師事。2020年より福岡市に移住し、フリーランスのイラストレーターとして活動中。
温故知新
法文学部附属
「鹿児島の近現代」教育研究センター開設
本学においては2022年10月、法文学部附属「鹿児島の近現代」教育研究センターを開設しました。旧藩の時代から明治・大正・昭和に至る鹿児島の近現代の歴史研究を中心として学際的な教育研究を推進。得られた知見を基に、社会実装、地域イノベーション創出などの形で研究成果を地域社会に還元する「知の拠点」として、さまざまな取り組みを推進します。
研究成果を地域活性化へつなぐ、知の拠点へ
法文学部附属「鹿児島の近現代」教育研究センターは、故稲盛和夫名誉博士のご寄附による「鹿児島大学稲盛和夫基金」を原資として設立されました。日本の近代化をけん引した鹿児島には、そのプロセスを物語る歴史的遺産のほか、豊かな自然や伝統・文化などの地域資源が存在します。これらを教育研究に活用するための基盤を整備するとともに、その成果を地域社会発展のために還元することがこのセンターの目的です。この目的を達成するために、このセンターでは地域資源を教育研究に活用するための基盤整備のみならず、その成果を地域に還元するための地域マネジメント事業も展開します。
自然科学分野の研究者を含む本学教職員のほか、広く地域の皆さまにも関わりをもっていただきながら、地域活性化に貢献する「知」の拠点として、地域のニーズを踏まえた分野横断的・文理融合的な取り組みを推進しますので、皆さまのご理解とご支援をいただきますようお願い申し上げます。
「鹿児島の近現代」の歴史・社会・文化資源を地域の今と未来に生かす拠点へ
法文学部附属「鹿児島の近現代」教育研究センターは、故稲盛和夫名誉博士のご寄附による「鹿児島大学稲盛和夫基金」を原資として設立されました。日本の近代化をけん引した鹿児島には、そのプロセスを物語る歴史的遺産のほか、豊かな自然や伝統・文化などの地域資源が存在します。これらを教育研究に活用するための基盤を整備するとともに、その成果を地域社会発展のために還元することがこのセンターの目的です。この目的を達成するために、このセンターでは地域資源を教育研究に活用するための基盤整備のみならず、その成果を地域に還元するための地域マネジメント事業も展開します。
鹿児島は明治維新をけん引し、また戊辰戦争や西南戦争では多くの血を流しました。西南戦争後の復興、太平洋戦争の被災、戦後の離島との分断・復帰等―鹿児島は近代を語るに多くの物語を有しています。歴史の重みに比して歴史を語る材料(資料)は多く散逸したことも事実です。
センターの業務は、鹿児島の近現代に関わる歴史・社会・文化資源を後世に残すとともに、それらを使い現代の課題解決や地域の活性化に取り組むというものです。具体的にはシンポジウムやワークショップ、地域の課題に向けた各種の事業といったファストなものと、資料収集と保存、目録やデータベースの作成、教育プログラムの開発などのスローなものとがあります。鹿大の教職員の力を結集して地域のために尽力してまいりますので、皆さまのご支援をお願いしたいと存じます。
鹿児島の歴史・文化資源を基礎とした地域マネジメント
本センターの事業は、文字資料や写真、音源などの文字以外の資料を収集し、史的アプローチにより、鹿児島の近代をより深く理解することと、現代的な課題を解決する文理融合、分野横断的な実践的教育研究プロジェクトを行うことを二本柱としています。後者については、初年度は、12の「地域マネジメント教育研究プロジェクト」を行いました。テーマは、文化創生、食、観光、女性、外国人などに関するものです。研究分野は、経済学、社会学、考古学、教育学と多岐にわたっています。また、対象とする地域も、奄美群島、指宿市、霧島市、鹿児島市上町地区と鹿児島県の広い地域をカバーしています。まだ開始されたばかりの試みであるにも関わらず、いくつかのプロジェクト間でのオマージュ(敬意を基礎とした影響)が生まれています。各プロジェクトと収集された資料を総合的に関連させることによって、鹿児島の近代を基礎とした地域貢献型の教育研究プロジェクトを行っていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
二本の柱
「鹿児島の近現代」
教育研究センター
「鹿児島の近現代」教育研究センターの事業には、教育研究基盤整備事業と地域マネジメント教育研究推進事業という二つの柱があります。前者は、文字資料のみならず非文字資料をも対象として史的アプローチにより研究を推進し、鹿児島の近代とは何だったのかを問います。後者は、現代的な課題の解決に向け文理融合、分野横断的に新しい技術を駆使して実践的な教育研究に取り組みます。そして、これらの成果を社会実装や地域イノベーション創出の形で地域に還元します。
地域マネジメント
教育研究推進事業
鹿児島の豊かな地域資源(歴史・文化・自然)を活用した分野横断的、文理融合的な教育研究活動を推進します。そこで得た成果を、地方公共団体や産業界、地域住民との連携により地域社会に還元し、社会実装や地域イノベーションの創出を促します。また地域の方々を対象とした教育プログラムを開発し、地域理解や郷土愛を高めるとともに、地域的課題を的確に把握・解決し、地域の活性化に取り組むことのできる人材の育成に努めます。
- 地域的特性を踏まえた新たな地域の文化的創生に関する取組み
- 本学および地域が所蔵する歴史的・文化的資源の地域への還元
- 地域的課題把握とその解決に向けた取組み
- 教育・地域マネジメント人材育成プログラムの開発・推進
- 歴史遺産
- 自然遺産
- 文化遺産
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地域マネジメント
教育研究推進事業- 教育研究プロジェクトの推進
- 地域課題の発掘・調査の実施
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- 学外の研究者
- 自治体関係者
- 民間企業関係者
「鹿児島の近現代」
教育研究基盤整備事業
鹿児島の近現代の政治・経済・文化・社会など地域に関する種々の史的事象についてアプローチし、文系のみならず理系の技法も駆使して資料研究を推進し、その成果についてはデジタル化による公開を通じて社会に還元します。
- 鹿児島の歴史・文化・産業・社会等に関する一次資料の収集
- 資料のデジタル化・データベース化とその公開
- 郷土教育プログラムの開発及び提供、講座・講演会・シンポジウム・ワークショップの開催
- 地域の文化財保存への参画
- 各種編纂物の発行、WEBサイトでの情報発信
- 歴史遺産
- 自然遺産
- 文化遺産
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「鹿児島の近現代」
教育研究基盤整備事業- 鹿児島の近代・現代研究を活性化
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- 学外の研究者
- 高等学校教諭
地域マネジメント
プロジェクト
プロジェクト
鹿児島の地域を舞台に、社会・経済・文化の発展を目指した令和4年度の取り組み。それは、コロナ禍の困難への挑戦でもありました。
地域的特性を踏まえた新たな地域の文化的創生に関する取組み
「現代文化創出の「場」形成プロジェクト」
「現代アートを軸とした地域の有形・無形の知財の発掘・活用」
「GISを活用した沖永良部バナナマップ作成プロジェクト」
本学および地域が所蔵する歴史的・文化的資源の地域への還元
「近代鹿児島における在地窯業の考古学的研究」
「近現代における奄美島唄の伝承の変遷に関する研究」
「鹿児島大学が所蔵する近代化に関わる法学・政治学分野の貴重書の電子化事業」
地域的課題把握とその解決に向けた取組み
「沖永良部島における食料自給率向上に向けたボトルネック探求プロジェクト」
「近代から現代に繋がる沖永良部島の社会経済、教育に関する調査・資料収集」
「鹿児島市上町地区における歴史を活用した持続可能なまちづくり推進プロジェクトのための調査・分析プロジェクト」
教育・地域マネジメント人材育成プログラムの開発・推進
「指宿の地域資源の探究:鹿児島大学法文学部と指宿高等学校の連携事業」
「霧島国際音楽祭の価値創造メカニズムの解明と芸術文化事業マネジメント人材育成プログラムの開発」
「かごしま国体等「観戦・観光ガイドブック」作成・地域観光人材育成プロジェクト」
「鹿児島の近現代」教育研究基盤整備事業への期待の声
研究の拠点と高大連携の推進
平成30年に明治維新150周年を迎えるに当たり、県では「①薩摩藩が明治維新において重要な役割を果たし得た要因、②当時の市井の人々の暮らしや女性の生き方、③子どもの教育(人材育成)」などについて整理し、『明治維新と郷土の人々』として取りまとめました。調査・研究を進めていく中で、鹿児島には近代の史料が極端に少ないこと、研究体制が整っていないことを痛感しました。戦禍などやむを得ない部分もありますが、史料を後世に残す努力や、実証的な歴史研究の蓄積が足りなかったことも否めません。
県では、黎明館がその役割を担っており、公文書館についてもようやく建設の機運が高まりつつあります。当センターにも、「鹿児島の近現代」に特化した史料センターとしての役割と、人と物と情報が集まる研究の拠点としての役割を期待したいです。
当センターでは、昨年の設立以来、市民を対象とした公開シンポジウムを開催されてこられました。かつて大学は「象牙の塔」などと言われたこともありましたが、研究の成果を広く市民に還元する機会を積極的に設けることで、さらに開かれた大学を目指して欲しいと思います。
高等学校の立場からは、高大連携に力を入れていただきたいです。例えば、大口高校には昭和7年に建設された木造の図書館が現存し、「総合的な探究の時間」でこれを題材に近代建築史を研究している生徒がおります。彼らは、現在「登録文化財」への指定を目指す活動を始めています。このような高校生の活動を支援していただけると、当センターの、いや鹿児島大学の存在価値がさらに高まると思われます。
以上は、当センターへの期待であり、同時に、客員研究員を拝命した私自身の課題と考えています。
地域マネジメント教育研究推進事業への期待の声
鹿大だからできる地域の未来への伴走を
私はいつも、西村先生と日髙先生が来島されるたびに聞かせてくれる研究のお話を楽しみにしています。それまで知識としてあった沖永良部島のヒト・モノ・コトが不意につながり、「あれってそういうことか!」と物語が生まれる瞬間が堪りません。
西村先生との出会いは昨年1月。町職員から「教授を紹介したい」と連絡があり、ジャケットを引っ張り出して会議室に着いたら、長髪でアロハシャツ姿の先生がいらっしゃる。そんな緊張と緩和もあり、初対面からとても話しやすかったことを覚えています。今、1月は冬だと気づきましたが、それほど西村先生はアロハのイメージということです。
申し遅れましたが、私は沖永良部島で多文化共生促進の活動をしています。島は奄美群島で最も高い外国人人口比率、なんと県平均の2倍弱。そこで交流用にTシャツを作ったり、生活に役立つ冊子を作ったり、飲み会を開いたり、いろいろです。近年、人材不足を背景に増え続けるアジア諸国からのニューカマーに、島で戸惑う声は少なくありません。
島は他にも、空き家管理、後継者不足、海洋ゴミなど、課題のオンパレード。幸い、沖永良部島には「この課題といえばこの人」と顔と名前が思い浮かぶプレイヤーがいます。私見もありますが、彼らの多くは課題を探していたのではなく、島の暮らしの中でたまたま課題と出合った人たち。だからこそ、思い入れも強いし、伝わりづらさもある。
僭越ながら、そして勝手ながら、私からセンターに期待することは、研究によって地域課題の警鐘を鳴らし、プレイヤーを島民に広げ、解決の道筋を立てるお手伝いいただくこと。島を含む鹿児島の地域が、未来へ進むための伴走者であっていただければ幸いです。
これからも宜しくお願い致します!
「鹿児島の近現代」教育研究センターの
事業をリードする特任教員紹介
事業をリードする特任教員紹介
鹿児島の近現代文学と聞くと、島尾敏雄や梅崎春生、林芙美子などの著名な作家がまず思い浮かびますが、ほかにも魅力的な作家や作品が存在しています。私は、これまであまり取り上げられてこなかった側面に焦点を当てていきたいと考えています。
まず、鹿児島の文芸雑誌文化に注目しています。戦後、島嶼域も含めて鹿児島の地域文化の豊かさがうかがえる多種多様な文芸雑誌が数多く発行されてきました。これらを収集・整理しデータベースを構築し、さらに同時代の中央文壇との交流状況を分析し、戦後昭和期における鹿児島文壇の編成過程の調査を進めていきます。
次に、沖永良部島出身で主に戦後昭和期に活躍し『青幻記』で太宰治賞を受賞した作家・一色次郎の研究です。現在、一色の作品研究と同時に島に残る書簡など一次資料の調査を行っています。両親の不幸な最期が創作の源泉にあり、一方でそのために島に対しては複雑な思いも抱いていた一色ですが、島嶼から鹿児島文学を再考することで、新たな視点を提供してくれる重要な作家です。
さらに最近では、日置郡吉利村出身の、大正・昭和戦前期の翻訳家・寺田鼎にも注目しています。もともと私はミステリ研究を専門としていますが、鹿児島は評論家・中島河太郎が旧制七高出身であるなどミステリと縁がある土地で、寺田もイサベル・マイヤース『トレント殺害事件』など海外ミステリを翻訳していました。寺田に関しては未だ不明な点が多いので、一次資料を調査しながら人物像を明らかにしていきます。
以上のように、鹿児島の近現代文学の知られざる側面を掘り起こすことで、鹿児島文学の魅力を再発見していきます。
これまでの自身の研究を振り返ると、主に二つのテーマに関心を持ってきました。一つ目は、戦前の海軍による広報活動を通じた地域社会との関わりについての研究です。軍隊による広報活動の分析を通じて、戦前の軍隊と地域社会がどのように関わったのかを検討してきました。二つ目はマス・メディアに関する研究です。戦時下の広告業界や占領期に創刊された雑誌など、マス・メディア史の空白部分について、資料紹介とともに研究を行ってきました。
センターではこれまでの経験を活かし、①鹿児島と軍隊との関わり、②鹿児島のマス・メディアについて、資料収集やデータベースの作成、研究成果の発表などを行っていきたいと考えています。
鹿児島と軍隊との関わりについては、鹿児島は知覧や鹿屋など、「特攻」を地域社会と軍隊あるいは戦争とを結びつけるキーワードとし、平和教育に取り組んできました。ただ鹿児島と軍隊との関わりは戦時中に限られません。明治から現在に至るまで、旧日本軍、進駐軍(米軍)、自衛隊など、いくつもの軍事組織と関わりを持ってきました。軍隊をめぐる社会のあり様を、鹿児島を舞台に研究していきたいと考えています。
鹿児島のマス・メディアについては、戦前の地方紙について調査・研究を進めていきます。地方紙はその時々の地域のあり様をいきいきと描き出す貴重な歴史資料ですが、利用環境の問題もあり、まだまだその活用は進んでいません。利用環境の整備も含め、地方紙を手掛かりとして鹿児島の近現代を浮き彫りにしていきます。
私にとって鹿児島は魅力あふれる地域です。鹿児島で研究できることに感謝し、地域の方々とともに、地域資源の活用に全力で取り組んでいきます。
私は以前、東京でサラリーマンとして働いていました。しかし、2011年の東日本大震災をきっかけに退職し、家族と共に故郷の鹿児島に戻りました。帰郷後の私の問題意識は、「これからのコミュニティ」についてでした。
現代の地域社会の足下には積み重ねられた地層のような地域の歴史があります。過去のある出来事が、現代の地域社会においても影響を及ぼすことがあります。そのため、「これからのコミュニティ」について考える上で、「これまでのコミュニティ」を振り返る必要があります。また、人々をめぐる状況も多様です。私の研究は、社会学の立場からこのような地域社会の変化や構造を分析することです。中でも、私の中心的な研究は石油備蓄基地をめぐる地域の変化です。これは、私の帰郷の契機となった「エネルギーとコミュニティ」をめぐる問題と重なるテーマだと考えます。
そして、この問題は私だけでなく現代日本の人々を巡る普遍的な課題でもあると思います。
現代の鹿児島は、少子高齢化、世代間の分断、地域産業やコミュニティの衰退、交通インフラの脆弱性、貧困、人材育成など、多くの課題が存在します。しかし、一方で、鹿児島には豊かな歴史や文化、自然環境、そして多様な人々といった貴重な資源も存在しています。
当センターの地域マネジメント教育研究プロジェクトは、多様な領域の研究者が研究成果をもとに、自治体や産業界、教育界、地域住民などさまざまな団体と連携し、地域社会の発展に貢献することを目的としています。私たちは、地域の人々と共に課題に向き合い、これに取り組むことで、より豊かで持続可能な地域社会を実現していきたいと考えています。
私はこれまで、地域に遺る歴史資料の保全と活用を基礎とした歴史研究と教育の実践に従事してきました。その経験をもとに、これから「鹿児島の近現代」研究の枠組みを刷新し、その成果をひろく国内外に発信したいと考えています。
既存の「鹿児島の近現代」研究は、鹿児島と日本の「近代」化に努めた一部の「英雄」たちに着目しつつ、特に幕末維新期から明治期にかけての歴史像の解明に力が入れられてきました。一方で、ひろく一般民衆がどのように幕末維新期から戦後にかけての「日本」を生き、歴史と文化を紡ぎ出したかという実像については、まだ十分には詳らかにされていないと私は考えています。
かかる現状を踏まえて、私は、鹿児島歴史資料防災ネットワークとも連携しながら、文献・非文献の区別なく研究に必要な資料の保全と収集に取り組みます。その上で、島嶼部や宮崎・熊本を含む南九州の諸地域と、そこで生活を営んできた住民が経験した「近代」化と「現代」化の内実を詳らかにしたいと考えています。
さらに、私は、鹿児島県を中心とした南九州地域の歴史資料を素材とした近現代史教育プログラムの構築にも積極的に取り組んでいきます。
具体的には、地域でのフィールドワークと歴史資料の保全活動を基礎に授業を構成し、一次史料の収集と分析から成果を地域に還元するまでの実践を学生に経験させ、地域史研究の技法と意義を修得するための主体的な学びの機会を提供します。この実践によって、地域の歴史文化研究の担い手を育成するとともに、19世紀以降の地域の歴史経験に着目した新しい「鹿児島の近現代」研究の裾野を押し広げる基盤を創成したいと考えています。
以上のように、私は専門の歴史学のみならず、人文学から自然科学までの文理の垣根を超えた学際的視座のもと、「鹿児島の近現代」教育研究の新しい枠組みの構築に全力で取り組んでまいります。
「韓国語入門 」/共通教育センター 外国語教育部門
鄭 芝淑 准教授
地道にやれば必ずできる
韓国語の運用に必要な知識と技能の基本を学習し、日本語および日本文化と対比しながら隣国韓国への理解を深めていくことを目的とした「韓国語入門I」。外国語の学習においては「実際に使えるようになってこそ意味がある」との見地から、鄭芝淑先生の授業ではコミュニケーションの場を想定した演習や身体を使ったゲーム形式を取り入れ、学生同士で教え合い協力し合って学習できる環境づくりを心がけている。
学生間の対話活動を重視
教室に入ってきた生徒たちがペアを作って着席し終えると、「アンニョンハセヨ!」の元気なあいさつが響く。そうして授業が始まると、鄭先生の「シージャッ(せーの)」の掛け声とともに全員で教科書を見ながら発音練習。さらに、隣り合わせの学生同士でお互いの発音をチェックする。
「韓国語入門I」の授業では、韓国語を初めて学習する学生たちが、ハングルの創字原理とその読み書きを学び、基本的な挨拶や簡単な会話を習得していく。最終的には、韓国とその文化に対して関心を深め、興味を持ったことを自ら調べたり説明できるようになることを目指す。
選択科目のため、受講生たちは学部も学年もさまざま。授業では、「外国語学習の目標は知識の習得ではなくコミュニケーション能力の養成である」という考えから、学生との信頼関係構築に努めるとともに、学生間の対話活動を重視。発音練習や対話練習を行うペアワークの相手は授業のたびに変わるため、一、二カ月もすれば学生同士の関係が非常に密になり、クラスの一体感が生まれてくるという。
言語だけでなく文化の違いを理解する
ハングルは、母音を表す母音字母と子音を表す子音字母の組み合わせで作られる「組み合わせ文字」。世界のほかの言語と違い、いつ誰が作ったかが明確という点で特異な文字だ。鄭先生は「漢字を読めない人のために李朝の王様が作った文字です」と説明する。
授業計画では、オリエンテーション後の最初の授業で、まず母音字母10個(ㅏ,ㅑ,ㅓ,ㅕ,ㅗ,ㅛ,ㅜ,ㅠ,ㅡ,ㅣ)の書き方と発音を学習する。その後の授業で母音字母と子音字母などの組み合わせを学んでいくことで、ハングルの読み書きを習得。韓国語の単語を覚える際には、韓国の文化やマナーについての話題も織り込まれる。相互理解を深めるためには、言語を習得するだけでなくその国の価値観を知ることも重要と考えるからだ。
授業は終始和やかな雰囲気で進み、学生たちへの「チャレッソヨ(よくできました)。天才じゃない?」との小気味よい声かけに笑い声が上がることも。毎回行われる小テストでは、学生たちが自己採点で自身の理解度を確認する。「自分がどのくらい理解し、聞き取れるようになっているかを確認することはとても大事」。だが、「聞き取りは難しい。できなくてもがっかりすることはありません」と、やさしくフォロー。
成長を実感することが外国語学習の醍醐味
受講を終えた学生からは、「丁寧な授業なので理解しやすく、発音のコツもわかりやすい(理学部理学科1年、山中咲さん)」「授業が進むにつれ、確実に身に付いていくのがうれしい。毎回ペアの相手が変わるのも新鮮。(農学部農業生産科学科1年、田島日菜さん)」との声が聞かれ、学習を楽しんでいる様子がうかがえる。外国語の学習には地味な練習を根気よく反復する過程が必要だが、授業でこれを機械的にやるとどうしても単調になりやすい。そのため、ゲームを取り入れるなど授業を楽しく進められるよう工夫を凝らす。しかし、「楽しい」と「楽だ」は全く別物。「『楽でない』努力の先に『楽しみ』があることも実感してもらいたい」と、学生たちの成長を願う。
「自分には外国語能力がないと言う人がいるが、それは錯覚に過ぎない。学習速度には個人差があるが、潜在能力に個人差はない。外国語はやれば誰でもできる。やらなければ誰もできない」というのが語学教員としての信念だ。「韓国語には『하면 된다 ハミョンデンダ(やればできる)』という言葉があります。自分を信じて頑張れば必ずできるはずです」。
末梢神経障害による遺伝性神経難病の原因を特定するための遺伝子解析
〜シャルコー・マリー・トゥース病の病態メカニズム解明・治療開発に向けての新たな一歩〜
樋口 雄二郎 助教
鹿児島大学病院 脳・神経センター脳神経内科
遺伝性神経難病の
原因を追究する
遺伝子の異常によって生じる難病は、筋ジストロフィーなどたくさんありますが、現在の私たちの研究テーマは、そのような遺伝子変異による末梢神経疾患であるシャルコー・マリー・トゥース病(以下CMT)や脊髄小脳変性症などの患者さんの遺伝子を解析し、病気の原因を追究することです。本学脳神経内科では、2007年以降、北海道から沖縄まで全国各地の医療機関から遺伝性末梢神経障害や脊髄小脳変性症の患者さんの血液を送っていただき、年間250例を超える遺伝子解析を実施してきました。
CMTは、末梢神経の異常によって手先や足先の感覚が鈍くなり、進行すれば痩せ細って歩行も困難になっていく遺伝性の進行性神経疾患です。日本では2万人ぐらいの患者さんがいるといわれています。
CMTを引き起こす遺伝子は、これまでに100個ほど明らかになっており、患者さんの診断をするときには、これらの遺伝子を調べて原因を特定します。しかし、100個の遺伝子を調べても異常が見つからない患者さんもたくさんいらっしゃいます。つまり、まだ明らかになっていない未知の原因遺伝子が存在すると考えられていて、「その遺伝子を見つけ出そう」というのが、私たちの研究の入り口となりました。
二つの原因遺伝子を発見
日本神経学会賞を受賞
CMTの新たな原因遺伝子を探索するための遺伝子解析は膨大なものでしたが、次世代ゲノムシークエンサー(※)を用い、東京大学と共同でヒト遺伝子のほぼすべてを網羅的に解析しました。その中から候補となる原因遺伝子を効率的に見つけ出す手法を考案でき、2016年に、アルツハイマー病の発症に関係することでも知られる「MME遺伝子」の異常を発表。常染色体潜性遺伝型CMTの最も頻度の高い原因であることも判明しました。2018年には、CMTと脊髄小脳変性症を同時に引き起こす「COA7遺伝子」の異常を報告することができ、それぞれアメリカ医学誌「アナルズ・オブ・ニューロジー」と神経学の分野で権威あるイギリス雑誌「ブレイン」に掲載されています。この新たな原因遺伝子の発見によりCMTの病態メカニズムの一部が明らかになり、2022年には、日本神経学会賞学術研究部門を受賞することができました。
病気の原因が分かれば、治療法開発の基礎的な情報が一気に増えていきます。例えば、筋ジストロフィーでは原因遺伝子が多数発見されてから新しい薬がどんどん開発され、保険適用となりました。CMTも同様に、原因が見つかり治療薬が開発されていけば、いずれ不治の病ではなくなるでしょう。
※遺伝子の塩基配列を高速かつ大量に解読する装置
新薬の開発を
具体的に進めていく
しかし、新しい薬の開発はまだ十分にできているとは言えません。同じCMTの患者さんであっても、原因となる遺伝子が100個以上あるのですが、それぞれの原因遺伝子によって治療法が違うため、他大学や製薬会社と共同で研究や治験を具体的に行っていくことが必要です。
今回、二つの遺伝子の発見が業績として認められたわけですが、まだ遺伝子の異常が確認できていない患者さんもいらっしゃるので、さらなる原因遺伝子を見つけるための解析を進めています。三つ目の遺伝子は見つかっているのですが、それを証明するための基礎的な実験を同時進行で行っているので、近いうちに発表できればと思っています。
- 研究のポイント
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- 全国の医療機関からシャルコー・マリー・トゥース病の疑いのある患者さんの遺伝子検査の依頼を引き受け、診断と研究に取り組む。
- 遺伝子の異常がみつからない患者さんの遺伝子解析を追求し、未知の原因遺伝子を検索する。
- 原因遺伝子を特定し、他大学や製薬会社と連携して治療薬の開発につなげていく。
樋口 雄二郎(ひぐち・ゆうじろう)助教
2003年3月鹿児島大学医学部卒、2003年5月鹿児島大学脳神経内科(第三内科)入局。2016年8月鹿児島大学大学院医歯学総合研究科博士課程修了(医学)、2020年4月~ 鹿児島大学医歯学域医学部・歯学部附属病院 医学部・歯学部附属病院診療センター 脳・神経センター助教
■所属学会等 : 日本内科学会総合内科専門医、日本神経学会専門医・指導医、日本末梢神経学会、日本人類遺伝学会
■研究分野 : ○シャルコー・マリー・トゥース病(Charcot-Marie-Tooth disease : CMT)○遺伝性ニューロパチー ○脊髄小脳変性症 ○ミトコンドリア病
共同研究者メッセージ
医歯学総合研究科脳神経内科・老年病学
髙嶋 博(たかしま・ひろし)教授
樋口雄二郎先生は、緻密で論理性の高い研究で大きな発見をしてきましたが、医局での彼はお茶目でユーモアがあり、学生や若い医師たちを楽しませてくれるような存在です。現在、病棟医長として、安全かつ質の高い医療の提供にも尽力してくれています。あまり褒めてもよくないと思いますが、何をやらせてもセンスよくこなしてくれる頼りになる存在です。これからも神経難病の研究に邁進し、難病患者さんの治療を目指して頑張ってくれると思います。
消滅の危機にある伝統野菜を残すため、地域主導の保存活動を模索する
〜地域の食文化を守る活動を教材化し、学校をシードバンクに〜
中野 八伯 さん
教育学部実習地 技術専門職員
先祖の命をつないだ
伝統野菜を残したい
伝統野菜は日本各地で古くから栽培され、その土地の気候風土に適応して定着してきた野菜ですが、現代では「収穫までに時間がかかり非効率」「形が不揃い」などの理由で生産者が減少しています。数少ない栽培者もほとんどが高齢の方なので、このままでは近い将来ほとんどの伝統野菜が消滅してしまいます。そこで、絶滅の危機にある鹿児島の伝統野菜を収集・保存するために離島を含めた県内各地を走り回り、子どもたちと一緒に育てるという活動を行っています。伝統野菜は地域の生きた文化財だと思うんです。知り合いの農家さんが、西郷さんも作っていたという伝統野菜「国分大根」を育てているのですが、それは地元の食文化を次の世代に伝えていくための取り組みであって、そこで収益をあげるためにやっているわけではありません。
伝統野菜に付随する
歴史のロマンを知る
鹿児島の離島には「古志大根」や「かわひこ(里芋)」など多くの伝統野菜が残る集落がありますが、そういった場所にはだいたい八月踊りのような伝統行事が今も受け継がれています。行事の際にお供えする料理の素材として伝統野菜の栽培が今も続けられているわけです。これらの集落に、源平時代に使われていた古い京言葉が残っているという興味深い話もあって、伝統野菜の収集のために奄美群島の集落を回っていると、よくお会いする言語学者の先生がいるのですが、その方は昔の京言葉がどのように伝播していったかを調査するために来ているんです。つまり、平家の落人たちによって京言葉とともに京野菜も持ち込まれているんですね。それを裏付けるように、宮崎や熊本の落人伝説の村にある野菜と同じものが奄美群島にもありますし、東京奥多摩の落人集落にも、奄美のキュウリとよく似たキュウリが伝統野菜として残っています。鹿児島には、江戸時代に薩摩藩が参勤交代の道中に大阪や京都、名古屋で手に入れたであろう野菜、また、当時の海外貿易を通じて琉球や東南アジアといった南方の国から伝わってきた野菜なども残っていて、野菜のルーツを探っているととても面白い。歴史のロマンを感じます。
これまでに集めたタネは約130種類。これを僕一人で継承していくことは不可能なので、地域主導でこの食文化を守っていける仕組みを作りたいと始めたのが先述の活動です。まずは僕が栽培して生理生態を確認しますが、その後は地元の小学校に里帰りさせて教材化させ、学校にシードバンク(種子銀行)の役割を担ってもらうことが目標です。例えば、鹿児島市の玉江小学校では、5年生の子どもたちが「伊敷長ナス」を栽培し、収穫後に苗を作って次の5年生に渡すという流れで受け継いでいこうとしています。収穫した野菜は、料理人の方と料理を考案して実際に調理したり、直売所で販売したり、また、調味料に加工することもあります。活動の内容は毎年変化するのですが、どこの小学校でも感じるのが、伝統野菜を育てることで地元への愛着が深まっていくということです。
新たな価値を見出し
地域を元気に
京野菜や加賀野菜、鎌倉野菜などは、伝統野菜でありながら採算に合う形で残っています。それは、「ここでしか食べられない」という価値が地元の人や観光客に受け入れられているからです。鹿児島でそこまでの価値を作り出すのは難しいかもしれませんが、鹿児島の伝統野菜も地域を元気にする文化の一つとして育っていってほしいと願っています。
- 研究のポイント
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- 県内各地の集落を巡り、伝統野菜を収集保存。現地の方々に栽培方法や調理方法、野菜にまつわる物語などを聞き取り調査する。
- 大学の附属農場で栽培しながら生理生態を調べたのち、集落の小学校へ里帰りさせて教材化させる。
- 各集落に残る伝統野菜を受け継いでいくための活動を地域主導で続けていける方法を模索する。
中野 八伯(なかの はつのり)さん
立命館大学法学部4年の時、スーツを着て就職活動に励む友人の姿に疑問を抱き、ゼミの教授に勧められてスーツを着る必要のなさそうな技術職である国家公務員2種「農学」を受験。大阪のサラリーマン家庭で育ち、農業経験は皆無だったが、合格し、面接が最も早かった鹿児島大学附属農場で技術専門職員として勤務。唐湊果樹園で農業の基礎を叩き込まれる。指宿植物試験場で温泉熱を利用した熱帯植物の調査栽培に従事した際、東南アジアへ赴き、さまざまな熱帯植物を採集する中で収集の楽しさを知る。その後、学内に戻り、野菜担当となる。
共同研究者メッセージ
山形大学農学部
江頭 宏昌(えがしら・ひろあき)教授
私の専門は植物遺伝資源学で、在来作物とその利用の文化を次世代に伝えるための研究を行っています。山形大学の蔬菜園芸学元教授、青葉高氏は1950年代から実施した在来品種調査を通じ「野菜の在来品種は生きた文化財」という名言を残しました。中野さんと同様、私もこの言葉に触発されて約20年間山形県の在来作物の調査・保全活動を行ってきました。現在、農水省の受託研究「PGRAsia」で日本各地の在来品種データベースを作る仕事をしていますが、鹿児島の調査では中野さんに大変お世話になっています。
「観察力・考察力・行動力」
3つの力を養ってほしい
桜島全体をひとつの博物館と考え、現地で本物を見て、楽しみながら学べるシステムの構築を目指す「桜島ミュージアム」。代表を務める福島大輔さんはスタッフとともに、桜島ビジターセンターの管理運営や体験型観光の推進、桜島産椿油のブランド化・PR・販売、桜島の玄関口フェリーターミナル内にあるMINATO CAFEの運営、島内コミュニティ活性化のサポートなどを行っています。現在は特に、ただ知識や情報を提供するのではなく、体験や教材など「見えるもの」を通して、裏側にある本質やメッセージを理解できるような伝え方(インタープリテーション)を身につけたガイドの育成や、2026年4月に開校予定の9年制の義務教育学校を起点に、桜島をまるごと学びの場にした地域活性に取り組んでいます。「物事の本質をとらえ、問題を解決する能力や新たに道を切り開く能力は大学・大学院時代に養われたものです。研究を通して物事に疑問を持ち「問い」を立てる力、多角的に見る必要性を実感。ただ知識を吸収するのではなく、考え方を学ぶことができました。なかでも卒論は観察力・考察力・行動力を鍛えるトレーニングになりましたね」。
元々は文系でありながら地学が得意だった福島さんは、担任の先生からの勧めで本学の理学部に進学。研究やサークル活動、アルバイトと充実した学生生活を送ったといいます。「じっくり自分と向き合える時期だからこそ、好き・おもしろい・得意にアンテナを張り、いろんなことを見て、さまざまな価値観に触れながら3つの力を養ってほしい」と熱いエールを寄せました。
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令和4年度卒業式・修了式を挙行
3月23日、川商ホールにおいて、令和4年度卒業式・修了式を挙行しました。
今年度の卒業・修了生は、学部卒業生1,859名、大学院修了生556名の計2,415名です。
今年度は4年ぶりに卒業生・修了生のみに限り一堂に会し開催。ご来場いただけない卒業生・修了生、ご家族の皆さまへ向けては、式典の様子をYouTube鹿児島大学公式チャンネルにてライブ配信を行いました。
式では、佐野輝学長が、各学部からの代表者9名、各修士課程・各博士課程からの代表者10名、計19名に学位記を授与しました。続いて、鹿児島大学稲盛賞、鹿児島大学工業倶楽部賞および鹿児島大学商工会議所会頭賞を各受賞代表者に授与しました。
佐野学長は告辞の中で、本学を卒業する2,415名への祝意と、学生をこれまで支え励ましてくださったご家族の皆様への謝意を述べるとともに、「若き薩摩の群像」の一人で初代文部大臣森有礼の功績を紹介し、本学での学びを誇りとし自信と勇気をもって国内外の課題に挑戦してほしいと激励しました。
最後に、服部隼さん(歯学部5年)による在学生総代送辞、池袋陽香さん(法文学部4年)による卒業生総代答辞が行われ、式は厳かに終了しました。
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鹿児島県と寄附講座「感染症専門医養成講座」の設置に関する協定書を締結
3月30日、鹿児島県庁において、鹿児島県からの寄附により設置する「感染症専門医養成講座」に関する協定書を締結しました。
本講座は、平時から感染症の発生やまん延時における医療体制を整備するために感染症専門医を養成し、健康危機管理体制の充実を図ることを目的として、令和5年7月1日から令和9年3月31日までの期間、大学院医歯学総合研究科に設置されます。講座終了後は、大学病院に感染症科を設置し、引き続き感染症専門医を養成していく予定です。
協定締結式では、佐野輝鹿児島大学長と塩田康一鹿児島県知事が協定書に署名した後、両者から挨拶があり、佐野学長は「この講座において、4年間で、新たに6名の感染症専門医を養成するとともに、これまで以上に、地域連携による県内感染防御体制の強化に貢献していきたい」と抱負を述べました。
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令和5年度入学式を挙行
4月7日、川商ホールにおいて、令和5年度入学式を挙行しました。
今年度の入学生は、学部入学生1,942名、大学院入学生606名の計2,548名です。
今年度は4年ぶりに新入生が一堂に会し開催。ご来場いただけない新入生とご家族の皆さまへ向けては、式典の様子をYouTube鹿児島大学公式チャンネルにてライブ配信を行いました。式では、佐野輝学長による入学許可の後、学部と大学院それぞれを代表し、上野綾奈さん(教育学部)と愛下由香里さん(保健学研究科)の2名が入学生宣誓を行いました。
佐野学長は告辞で、入学生に祝意を表するとともに、鹿児島医学校で教鞭をとった英国人医師ウィリアム・ウィリスの鹿児島医学校での一番弟子となった薩摩藩士・高木兼寛に触れ、勉学のみならず、心も鍛えて相手に配慮ができる良き大人になっていただきたいと激励。「将来、鹿児島大学で学んだことに自信と誇りを持てるよう、鹿大生として充実した日々を送ることができるよう願っています。夢を持ち、実現に向けて努力を行い、鹿児島から世界に羽ばたいてください」とエールを贈りました。
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「THEインパクトランキング2023」総合ランキングで国内17位、SDG17〈パートナーシップで目標を達成しよう〉で国内3位を獲得
6月1日、イギリスの高等教育専門誌「Times Higher Education(THE:ティー・エイチ・イー)」が「THEインパクトランキング2023」を発表しました。鹿児島大学は今回初めてエントリーし、総合ランキングで301-400位(国内17位)にランクインしました。
また、SDG別ランキングでは本学はSDG2、SDG3、SDG9、SDG14、SDG15、SDG17の6つの目標にエントリーし、SDG17〈パートナーシップで目標を達成しよう〉」で世界85位(国内3位)という高い評価を得ました。
THEインパクトランキングとはイギリスの高等教育専門誌「Times Higher Education(THE:ティー・エイチ・イー)」が大学の社会貢献の取組をSDGsの枠組みを通して可視化するランキングで2019年から行われています。参加大学は毎年増加しており、5回目である今回は世界1591大学(前回1406大学)、国内78大学(前回76大学)がランクインしました。
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日本経済新聞社と日経HRによる企業の人事担当者から見た大学イメージ調査の「就職力ランキング」で鹿児島大学が九州・沖縄地区2位、「大学の取り組みランキング」で全国1位を獲得
日経HRと日経新聞社が2023年6月7日に公表した企業の人事担当者から見た大学イメージ調査「就職力ランキング」で、鹿児島大学が九州・沖縄の総合ランキングで昨年の5位から2位(全国では15位)に浮上しました。同じ調査の「採用を増やしたい大学ランキング」でも、全国で2位と高い評価を受けています。
この調査は、2023年2月14日~3月22日に全上場企業と一部有力未上場企業5070社を対象に実施されたものです(有効回答数は738社)。「就職力ランキング」は、企業の人事担当者に過去2年間に新卒として採用した各大学の学生のイメージを聞く「企業の人事担当者から見た大学イメージ調査」の結果をもとに作成しており、採用実績のある大学を人数の多い順にあげてもらい、学生のイメージは主体性などを見る「行動力」、コミュニケーション力などを見る「対人力」、論理的思考力などを見る「知力・学力」、創造力などを見る「独創性」の4つの側面で評価しているとのことです。
本学卒業・修了生は、4つの側面のうち「行動力」と「独創性」の得点が高く、企業の人事担当者から「人間力が高い印象を受けている」と高評価でした。
また、この調査では、企業の人事担当者に対し、大学の取り組みに対する評価も聞いており、本学は「大学の取り組みランキング」の総合ランキングで全国1位を獲得しています。
取り組み別のランキングでも、「授業改善に取り組む大学ランキング」4位、「すぐれた研究に取り組む大学ランキング」17位、「地域の活性化に貢献する大学ランキング」2位、「就職支援に熱心に取り組む大学ランキング」2位、さらに「学習環境が整っている大学ランキング」1位と、多くの項目で上位を占めました。
※詳細は2023年6月7日発売の「日経キャリアマガジン特別編集 価値ある大学 就職力ランキング 2023-2024」に掲載
- 貴社の業務やSDGsへの取り組みなどについて教えてください
- 当社は総合建設コンサルタントとして、地域の方々が安心・安全に暮らせる持続可能で強靭なまちづくりを目指しています。また社会に必要とされる企業であるために、高い技術サービス(調査・測量・設計等)を追求している会社です。
- 本学の学生に向けて応援メッセージをお願いします!
- 株式会社大進は、将来性がある会社だと思います。地域社会や自分の生まれた故郷を大事に思う方に入社頂けたらと思います。入社頂ければ私たちが一流のプロに育てます!一流のプロを一緒に目指してみませんか!
鹿児島大学リサイクル募金
読者アンケートのご協力のお願い
本誌に関する皆様からの率直なご意見・ご感想についてお待ちしております。
鹿大「進取の精神」支援基金へのご寄附のお願い
鹿児島大学は、地域活性化の中核的拠点として、学生のグローバル教育の推進や地域に貢献する人材の育成など教育研究支援の強化に取り組むため、鹿大「進取の精神」支援基金を創設し、寄附のご協力をお願いしております。つきましては、本基金の趣旨にご賛同いただき、皆様のご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
なお、本学への寄附につきましては、所得税法、法人税法上の優遇措置の対象となります。
【お問い合わせ先】鹿児島大学総務課基金・渉外係
TEL:099-285-3101 FAX:099-285-3854
「治らない」から「治る」病気へ
6年間の大学生活で見つけた自分の使命
鹿大に入学したら色々なことに挑戦しようと決めていた土元さん。大学2年生の時にはカナダのブリティッシュコロンビア大学に留学し、免疫学の最先端医療に触れました。「それまではどちらかというと与えられたテーマをやるタイプだったのですが、留学によって意識が変わり、自分の軸も定まりました」。6年生の春にはアメリカに留学し、難治性てんかんの研究を行います。日頃の研究成果が認められ、日本神経感染症学会では会長賞を、鹿大進取の精神学生表彰では最優秀賞を受賞。「久保田教授、多くの友人に支えられ受賞することができました。苦楽を分かち合い励ましながら、成長できる仲間に出会えたことが財産です」。研究の傍ら、障害への理解を深めるためヘルパーの資格を取得し介護のアルバイトをしたり、女性の健康と権利の大切さを伝える「ホワイトリボン」のチャリティイベントの副代表として企画・運営に携わったりと経験の幅を広げました。
「有効な治療法を見つけて、一人でも多くの患者さんを救いたい。治りにくい病気、治療法が見つかっていない病気を治る病気に。その瞬間に立ち会えたら」。患者さんとご家族にとって希望のある未来を届けるため、医師として働きながら研究も続けていきたいと強く語ってくれました。
私の座右の銘
Don't think, feel!
完全に準備が整うことなんてほとんどない。
やってみたい!その直感を信じよう。
進みながら考えていけばいい。
- カッター競技とは?
- カッター競技は、漕ぎ手と艇指揮、艇長の男子は計14名、女子は計8名でタイムを競う競技になります。
- カッター部の魅力は?
- チームが一丸となって競うカッター競技では、各個人では絶対に辿り着けない達成感・爽快感を味わえます。さらに、南国鹿児島ならではの海も楽しめます。
- 活動内容について教えて下さい。
- 主に船を漕ぐ練習、筋力トレーニングとチームワークの強化。あとは、艇のメンテナンスです。迫力ある練習風景は動画を見てください!
DATA ※2023年6/15 時点
- 部員数
- 26名[男14名・女12名]
- 活動場所
- 与次郎ヶ浜長水路付近
- 活動日時
- 週3日程度[朝練がメイン]
男子 6:45~、女子 6:30~
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