CONTENTS
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特集
「進取の精神」で持続可能な社会づくりを推進 ~鹿児島大学・SDGsへの取り組み~
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潜入ルポ〜学びの部屋〜
「基礎統計学入門」
共通教育センター
初年次教育・教養教育部門
川端 訓代 准教授 -
先輩からのメッセージ大臣官房 広報評価課 広報室 係員
白石 優生 さん -
Scholar Interview 〜研究室から〜共同獣医学部 獣医学科
獣医学教育改革室室長
有村 卓朗 教授 -
知のタネ
移植・再生医療に有用な独自開発 ミニブタによる前臨床研究
先端科学研究推進センター
生命科学動物実験ユニット
大動物研究推進部門
医用ミニブタ・先端医療開発共同研究部門(兼)
ユニット長
佐原 寿史 准教授 -
鹿大トピックス
大阪・神戸ドイツ連邦共和国総領事 マルティン・エバーツ氏が表敬訪問 ほか
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with KU ~パートナー企業紹介~
株式会社 南日本総合サービス
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進め!鹿大生理学部地球環境科学科4年
櫻井 咲綺 さん -
鹿大プラス
さっつんグッズ
今号の表紙 「銀杏並木通りと学生たち」
郡元キャンパスの法文学部から理学部にかけ、長さ約360mにわたりイチョウが並んでいます。秋には黄金色のトンネルとなり、訪れる人々の目を楽しませています。下部は水産学部附属練習船「かごしま丸」です。日本沿岸から北西太平洋などで実習を行っています。
表紙イラスト 市川 聖奈(イラストレーター)
薩摩川内市出身。鹿児島大学教育学部美術専修卒。教材用イラスト、絵地図制作ほか、釣り雑誌「月刊南のつり」の編集をしています。鹿児島県内小学校高学年向け副読本「歴史深発見!タイムスコープ」、「かごしまタイムトラベル」表紙キャラクター、4コマ漫画担当。鹿児島県小学校理科教育研究協議会「わたしたちの理科研究70号」表紙担当。
「進取の精神」で持続可能な社会づくりを推進
鹿児島大学・SDGsへの取り組み
SDGsとは2015年9月の国連サミットで採択された、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。地球上の「誰一人取り残さない」の考えの下、あらゆる分野で持続可能な社会へ向けた取り組みが進められています。地域に立脚した総合大学である本学においては、さまざまな分野における教育・研究活動、地域貢献活動において、SDGsの理念が底流するさまざまな取り組みが行われています。
SDGs: Sustainable Development Goals (持続可能な開発目標)
知られざる「もったいない」をなくして、
鹿児島の海と漁業従事者を元気に
健やかな海と水産業を次代へつなぐ
「かごしま深海魚研究会」の取り組み
鹿児島の海と漁業従事者を元気に
「かごしま深海魚研究会」の取り組み
水産資源生物学者として、エビをはじめとする甲殻類や深海魚の生態学的特性に関する調査・研究を手がける大富潤先生は、研究者としての知見を生かした魚食普及活動に長年取り組んでいます。鹿児島の漁場と水産業の持続可能性を見据えた、大富先生の魚食普及・水産業振興活動について伺いました。
魚介類の宝庫で起きている「もったいない」
南北600kmにわたる海を有し、黒潮が流れる鹿児島県は好漁場に恵まれています。とくに錦江湾、薩摩半島西方、南西諸島における深海域の水産資源の多様性、豊富さには目を見張るものがあります。洋上ではさまざまな魚介類が釣られ、網に入ります。しかし、多くの魚種は市場に届くことなく、海上投棄されている現状があります。消費されないため、競りで値がつかないのです。近年、食品ロスが大きな社会問題になっていますが、海上では消費者に届けられる以前に「もったいない」が生じています。食用に適さないのであればやむをしろおいしいもの得ませんが、むが多く、高級魚の部類に入るものもいます。ユニークな名前のボウズコンニャクはノドグロに負けない旨味があり、地味な外見のスミクイウオを一夜干しにすれば、アジの開きに引けを取らない味わいです。駿河湾、伊豆・小笠原諸島という深海漁場を控える静岡県の沼津港では、キンメダイなど地元の深海魚を観光の目玉にした集客に力を入れ、まちおこしに成功しています。テレビなどで観る人気の高い魚が鹿児島の海でもたくさん獲られていることを広く伝えることが、我々の役割の一つと思っています。
「乱獲される」漁業者
現在、世界的に見ると、一人当たりの魚の消費量は増加し続けていますが、日本では例外的に減少しています。とくに鹿児島は畜産県という土地柄もあるでしょうが、県民一人当たりの魚の消費量は国内最下位に近い状況です。素晴らしい漁場に恵まれながら、経営の厳しい漁業従事者は後継者の育成を諦め、就業人口は年々減少する一方です。四半世紀前には100隻を超えていた錦江湾のとんとこ網(小型底曳網)漁船は、今や40隻足らず。そんな現状を見るにつけ「乱獲」されているのはむしろ漁業者なのではないかと、強い危機感を覚えています。
漁業者のモチベーションを向上させることが漁業存続の鍵です。我々も研究者の立場から、書籍出版やメディア出演などを通じ、地魚の知名度向上・魚食啓発活動に取り組んできました。また、かつては網に入っても海上投棄されることが多かった「しばえび」の正体を解明し、新たに「ヒメアマエビ」と命名。メディア等を通じアピールすることによって二束三文だった市場価値を1kg1500円前後へ向上させたことも、研究成果の一つです。
漁業の灯を絶やさないという「持続」
2020年8月、新たな活動として「かごしま深海魚研究会」の立ち上げに参画しました。これまで市場に出なかった深海魚などを買い取る試み(相対取引)を始めた鹿児島市の水産仲卸業者・田中水産、深海底曳網(たかえび漁)の基地である南さつま市とタッグを組んでスタートした「産学官」の取り組みです。趣旨に賛同した小売店や料理店、スーパーなど、現在50店ほどが加盟。販売法やメニュー展開など、各店舗それぞれに工夫を凝らしながら消費者に届ける取り組みを続けています。鹿児島の「うんまか深海魚」のネーミングには、東の沼津、西の鹿児島と、太平洋側の深海魚の二大本場の一つとして市場が成長してほしいという思いを込めました。最近、九州全土で店舗展開する大手スーパー・イオン九州の目に留まって取り扱いが始まり、観光業界の方にも興味を持っていただいています。鹿児島の「うんまか深海魚」がきっかけになり、地魚の消費が伸びてほしいと思います。
SDGsを実現する上で、新しい取り組みを始める、創造するという展開もあると思いますが、まずは今ある漁業をなくさない、絶やさないということが何より大切です。いま漁業に従事している人に元気になっていただき、次世代の後継者へと引き継ぎ、漁場である海を次世代につなぐことが我々の願いです。
教育を通じ誰もが自分らしく学び、
生きることのできる社会へ
一人ひとりのセルフアドボカシースキル
(自己権利擁護力)を高める特別支援教育を研究
生きることのできる社会へ
(自己権利擁護力)を高める特別支援教育を研究
障害児教育学を専門とする片岡美華先生は、オーストラリア留学や米国での調査研究で得た知見をもとに、特別支援教育教員養成に携わっています。そのほか、学びづらさを抱える学生の相談や支援、県内の教育関係者・保護者向けの研修・講演、就学相談、巡回指導など、障害の有無にかかわらず、誰もが学びを享受することのできる教育環境の実現に向け、多岐にわたる活動に取り組んでいます。
インクルーシブ教育の実現に向けて
かつて障害児教育は特殊教育と呼ばれ、養護学校や特殊学級といった特別な場所で教えられていました。2007年、国内で特別支援教育が始まってからは、通常学級の中で特別なニーズのある人にも対応できる教育が求められています。現在、特別支援教育の対象は義務教育の段階で児童生徒の1割を優に超え、通常学級においても2〜3名いるとされています。ただ発達障害のある人は、見た目で分からないため、学びづらさを抱えたままクラスに埋没しているケースもあります。どうやって見出すか、見出したらどのような関わり方、教え方をするのが適切か。高校や大学、職場を含め、どこにでもいる特別なニーズのある人に対し、教員としてのみならず、家族として、仲間として、支援者として関わることのできる「人づくり」を目指して、教育に携わっています。
ニーズを満たす上で必要なこと
発達障害のある人は、大概のことはできますが、一部のことは難しい。その苦手な部分を補うため、教育現場に取り入れようと近年提唱されているのが、ユニバーサルデザインという考え方です。例えば、LD(学習障害)の子は、視覚的にモノクロよりカラー、小さいものより大きいものの方が見やすいという傾向があります。補うためには、プリントをカラーにしたり、拡大したり、少し工夫すればいい。また算数嫌いの子には、計算問題が100問のプリントを1枚渡すのではなく、1枚に1問とか5問とか、問題の数を減らしたプリントも用意して、選択できるようにする。そして、できたらその場で丸をつけてあげる。やりたかったらもっと解いてもいい。そうすれば、1問も解かないということはなくなるのではないでしょうか。そのほか具体的な手法は無限にありますが、要は「やらない、やりたくない」をなくすということ。ユニバーサルデザイン化することで、障害のある人だけではなく、クラスみんなにとって選択肢が増え、より楽しく、分かりやすい授業が可能になるのです。
一方で、障害のある人を支援をするためには、誰が何に困ってるのか教えてもらわないと周囲は分からないということもあります。当事者も、誰にどのように伝えていいのか分からない場合もあります。適切な支援のために必要になるのが「セルフアドボカシー(自己権利擁護)」です。あまり馴染みのない言葉ですが、欧米から入ってきた概念で、自分の権利を守るということです。日本でも福祉や法律、医療の分野では浸透しつつありますが、近年、教育の分野でも注目されています。そもそも、特別支援教育の理念には、自立や社会参加に向けて持てる力を高める、ということがあるので、セルフアドボカシーと直結しているとも言えます。
セルフアドボカシーのスキルを身につけるには、まず自分の得意・不得意を知り(自己理解)、ここが困っているから助けてくださいとお願いする力(提唱力)を身につけることです。2016年に施行された障害者差別解消法(障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律)に謳われる合理的配慮を受ける上でも、障害者による意思の表明が必要とされているので、障害者のセルフアドボカシースキルは不可欠です。
障害の有無にかかわらず
私の研究室では十数年前から、療育の中で対話やワークシートなどを活用してセルフアドボカシースキルを育む研究を行ってきました。最初に出会った高校生は、療育を通じて自分の障害を科学的側面からも理解し、苦手分野を克服する勉強法を見出し、大学進学を果たしました。本人にとっても私たちにとっても成功体験でしたが、セルフアドボカシースキルは少しでも早い時期に身につけてほしいと実感する事例でもありました。そこで、徐々に年齢を下げ、今年は中学生への継続療育に加え幼児期の子どもを対象とした療育・研究に着手しました。今後は、知的障害児・者のセルフアドボカシーについての研究も進めていきたいと考えています。
セルフアドボカシーは、障害の有無にかかわらず誰にでも必要なものです。自分を知ることで、自分に合う勉強法やリラックス法を意識的に選ぶことができる。身につけることで、誰もが自分らしく生きるということにつながっていくものだと思います。
AIを用いた海岸漂着プラスチックごみの
モニタリング手法を開発
科学の力で、一人ひとりの「ごみ削減マインド&アクション」を喚起
モニタリング手法を開発
加古真一郎先生は、近年、深刻な環境問題となっている漂流・漂着ごみ問題に関し、海洋物理学の面からアプローチを続けています。それに加えて、2020年にはドローンとAIを活用した画期的な定量化手法を構築。海岸環境モニタリング実現への大きな一歩として2021年度「異能vationジェネレーションアワード部門」(総務省)にノミネートされました。
海岸漂着ごみの定量化手法を開発
海洋ごみの7割程度はプラスチックごみ(プラごみ)といわれています。このプラごみは、海岸に放置されている間や漂流している間に紫外線や波の影響を受けて細かく砕け、マイクロプラスチック(5mm以下のプラごみ)となります。そして、このマイクロプラごみの誤食による生態系への影響が懸念されています。マイクロプラスチックの様に細かくなると非常に回収が難しくなりますから、そうなる前にごみを回収しなければなりません。そのためには、どこに、どんなごみが、どの程度あるのか、まずは把握する必要があります。しかし海洋ごみが広く社会問題として認識されるようになったのはここ数年ということもあり、プラごみの観測システムは、世界的にみてもまだ確立されておらず、海洋ごみの実態についてはシミュレーションや人の手による地道な調査に頼らざるを得ませんでした。
そこで我々は、観測に基づいたプラごみ定量化技術の確立を目指し、国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)との共同研究で、AIを用いた画像解析システムの構築を進めました。
手軽なデバイスを活用して実現する地域密着型のモニタリング
我々は、セマンティックセグメンテーションと呼ばれるディープラーニング(深層学習)手法を用いて、海岸の写真からピクセル単位で漂着ごみを検出する技術を開発しました。この手法においては、入力画像に対して、人工ごみ、自然ごみ、設置物、空、海など各ピクセルが示すクラスを出力します。深層学習の訓練と評価には、山形県庄内総合支庁から提供を受けた3500枚の海岸画像を使用しました。ドローンやウェブカメラによって撮影された画像に適用すれば、漂着ごみの被服面積や体積も計算することができます。深層学習を使えば、人の手では数日かかるような作業でも、数分程度で処理が可能です。これらの成果は、Hidaka et al.(2022)として、Marine Pollution Bulletin に掲載されています。
この適用例として、南さつま市の笠沙の海岸に設置したウェブカメラを紹介します。このカメラは、海岸を一時間に一度撮影し、その画像を自動的に我々のクラウドに転送してくれます。このデータと上述の深層学習を元にした画像解析手法を用いれば、海岸におけるごみの被服面積とその時間変化を把握することが可能です。リアルタイムな海岸の様子は、我々のホームページで直接見ることも可能なので、自治体の方が清掃のために海岸まで行って「ごみが全くない」といった空振りを防ぐことも可能です(市役所から笠沙の海岸までは片道1時間程度かかり ます)。また、重機を用いた大掛かりな清掃作業においては、効率的・効果的なごみ回収計画の立案が必要不可欠ですから、このシステムで少しでもそれを実現できるよう検討を繰り返しています。
我々が構築したシステムは、ドローンやウェブカメラはもちろん、デジカメやスマホ等さまざまなデバイスによって撮影された画像に適用可能ですから、自治体をはじめ地域の方々がモニタリング調査やデータ収集等に参画できるところも大きなポイントです。観測データを基に、地域に特化したモニタリング・定量化技術への進化も期待できます。
※Hidaka, M., D. Matsuoka, D. Sugiyama, K. Murakami, and S. Kako : Pixel-level image classification for detecting beach litter using a deep learning approach. Marine Pollution Bulletin. Vol. 175, February 2022, pp.1-11. https://doi.org/10.1016/j.marpolbul.2022.113371
海のごみは街のごみ。誰もが無関係ではないと知ってほしい
海岸のごみは、拾って終わり、ではないところも問題です。拾っても、拾っても、また流れてきます。どこから来るのでしょう? 海に存在する大部分のごみは、街から河川を経て海洋に流入した生活ごみです。ごみは沿岸付近で暮らす人だけの問題ではなく、誰もが無関係ではないのです。街のごみについても定量化きないかということで、株式会社/一般社団法人ピリカと協働して、SNSアプリを活用した市民科学に基づくデータ収集も実施しています。市民の皆さんが、アプリをインストールしたスマホで街や海岸のプラごみを撮影すれば、これらの画像が日時や位置情報とともに、我々のサーバに送信されます。その画像データから、深層学習を用いてプラごみを抽出し、ごみの種類(ペットボトル、レジ袋など)やその量を自動判別する仕組みです。多くの画像データを集めることで、種類別のプラスチックごみ量の推算や、その時間変化の追跡に取り組んでいます。スマホアプリは株式会社ピリカのウェブサイト(https://sns.pirika.org)からダウンロードすることができます(iOS、Android共に対応)。多くの方にこの取り組みに参加いただければと思います。
現在、日本では、プラスチック袋やストローの利用をやめようという取り組みが進んでいます。この対策が「どの程度、海洋プラスチック汚染に対して効果があるのか?」というと、その程度は不明な点も多いです。もちろん、使い捨てプラスチックの利用を減らすことは、意図しない環境中へのプラごみ流出を減少させることにはなりますが、根拠も提示されないまま、これまで無料であったものが有料になることは、生活者の立場からすれば、納得しづらい部分もあるでしょう。現実的には、安い、便利、清潔などメリットも大きく、生活に浸透しているプラスチック全てをなくすことは無理でしょうし、その必要もありません。ただ根本的には、プラスチックの生産量や廃棄量を削減させないと、海洋へのプラごみ流出を減少させることには繋がりません。我々は、これからの環境政策の立案や施策を進める際のバックグラウンドとなる、観測に基づく科学的根拠を社会に提示できるよう、日々研究活動に取り組んでいきます。
「基礎統計学入門」(共通教育科目)
共通教育センター 初年次教育・教養教育部門
理系学部の学生を対象として開かれている共通教育「基礎統計学入門」では、実験や研究で得たデータを解析する上での「道具」となる統計学の基礎を学び、それぞれの学問に活用できるようになることを目指す。同時に、膨大な情報の集積する現代に不可欠な情報リテラシーを育むことも目的としている。地質学者・地球化学者として自らも統計学を使いこなす、川端訓代先生による講義を覗いた。
社会を変えた統計学
初回の講義の冒頭、モニターにナイチンゲールが映し出された。「日本では白衣の天使と呼ばれ、近代看護教育の生みの親として知られていますが、海外では統計学に関わりが深いことで知られています」。ナイチンゲールは、学んでいた統計学の知識を基に、従軍したクリミア戦争における兵士の死亡数と死亡要因のデータを収集。「鶏のとさか」と呼ばれる円グラフによって視覚化、プレゼンすることで、イギリスの医療衛生制度改革が実現したという史実が語られる。「統計データが非常に重要ということに加え、表現の重要性についてもこの時から認識されるようになりました」。統計学の意外な起源と、データの視覚化が人間社会に与える影響が直観的に伝わってくる。
統計学という「道具」を使いこなす
授業はオンラインと対面のハイブリッドで行われ、記述統計学と推測統計学を中心的に学ぶ。「記述統計学では、実在するデータを記述する手法、特に、見てわかりやすい形に可視化する手法を学びます。推測統計学とは、サンプルを抽出して母集団の特徴の推測を行う手法。答えを導き出す時に必要な統計学のルール、作法を学びます。データさえあれば、解析はソフトウエアがやってくれる時代。様々な解析手法の原理を理解し、データに対して正しく適用し、手法の限界も理解していないと、真実の結果を得ることはできません。計算ができるようになることよりも、統計学の理論を身につけてほしい」
参加した対面授業では、先生の用意した演習用データを元に各自、パソコンのエクセルで統計や簡易的なグラフ化の手法を学んだ。大学院生のTA(ティーチングアシスタント)も入り、授業は、一人ひとりの理解を確認しながらじっくり進められた。「入門なので、ここで統計学を嫌いにならないよう、分かりやすい進め方を心がけています」。ソフトの裏技や美しく伝わりやすいインフォグラフィックについての解説など、レポートや卒論に役立つ実践的な情報も伝授。農・医・理学部生からなるこの時間の受講生からは「最初は難しかったけれど、直接教えてもらったことで、できるようになってうれしかった」「対面授業は質問もしやすいので、分かりやすかった」「学んだことを研究に生かしていきたい」などの感想が聞かれた。
膨大な情報量を活用するために
統計学の定義を「確率論を基礎として、不確実性を含む多数のデータから、一定の確実さを持った判断を下すことを目的とするための理論」と、川端先生は説明する。IoT、AIの進化に伴いビッグデータの活用が一般的となった現在、膨大な量のデータを分析し、データの特徴やパターンなどを分析・検証し、生きた数字に変える技術ともなっている。私たちのスマホに自動的に流れ込んでくる広告の選択にも、統計の技術が生かされているのだ。
確率や統計の誤った解釈や、意図的に捻じ曲げられた解釈によって誤った指針や主張が導かれることもある、と川端先生。「嘘をつき、騙すための道具として統計が使われることがあります。意図的ではなくても、不正確な表現で騙す側になってしまうこともあります。いかに情報に対応し、データに向き合うかの教養、つまり情報リテラシーも重要。それを下支えするのが統計学です」。共通教育センターでは全1年生を対象とする情報活用科目を平成8年から必修化。さらに本年度「情報活用」を柱としたプログラムが文科省の数理データサイエンスAI教育プログラム(リテラシーレベル)の認定を受けた。「情報の時代ですので、理系・文系関わらず情報や統計を学んでほしい」と、笑顔を見せた。
まずは開かれた道に飛び込んでみればいい。
チャンスが巡ってきたら、迷わず ひっ飛べ!
大臣官房 広報評価課 広報室 係員 白石 優生(しらいし ゆうせい)
鹿児島県出身。2019年3月 鹿児島大学法文学部人文学科比較地域環境コース卒業。 同年4月農林水産省入省、九州農政局勤務を経て2021年4月より現職。
農林水産業の職員有志30チームが企画・撮影・編集を手掛ける、公式ユーチューブチャンネル「BUZZ MAFF(バズマフ)」。登録者数・2万人、再生回数3500万回を誇る(2022年11月上旬)官僚ユーチューブのトップランナーです。中でも人気を集めるのが、白石優生さんと野田広宣さんによる「タガヤセキュウシュウ」シリーズ。コロナ禍で低迷した花の消費拡大キャンペーンをPRしてバズり、バズマフの存在を世に知らしめた動画を筆頭に、人気番組を続々アップ。その手腕と功績を買われて白石さんは2021年4月、霞ヶ関に異動。現在、本省で広報活動に携わっています。
第一線で大活躍する白石さんですが、学生時代、就活には消極的だったと言います。「いつも一緒に遊んでいた友達が、就活が始まった途端、自己啓発とか言い出して変わっていくのが寂しかった。社会人になることに拒否反応がありました」。背を向けているうちに就活シーズンは終了、残るは公務員試験だけでした。公務員の父親と農家の祖父母のもとで育ち、もともと公人になりたい思いがあったことから、短期の猛勉強で受験。「楽しすぎる学生時代が終わることへの抗いだったんだと思います。当時の僕みたいな鹿大生の方へは、社会人も意外と楽しいよとお伝えしたいと思います」
順風満帆を絵に描いたような歩みですが、入省して半年間は自信をなくし、鬱々と過ごしていたそうです。「子供の頃から目立ちたがりで、人を引っ張っていきたい性格なのに、職場ではそれが発揮できない。といって起業するだけの知識も勇気も持ち合わせていなかった」。悶々と過ごしている時に下りてきたのが、ユーチューバー募集 。「これだ!と。気づいたら手を挙げていました」。動画制作をきっかけに才能を発揮、覇気を取り戻していきました。「チャンスをくれた農林水産省への感謝は計り知れません」
超のつく地元志向を自認する白石さん。東京で働くとは夢にも思っていなかったそうです。「鹿児島を離れたくない、都会は冷たくて怖そう、となぜか思っていたのですが、今こうして東京に来てみると、地元への執着心だったのかなと。むしろ東京で発信することで、鹿児島に貢献できるのではないかと思っています」。動画の中で鹿児島弁で話し続けるのも、アイデンティティの表現です。芸能人として勧誘が来たら?との問いには、「お笑いなら、うまい人はいくらでもいる。僕は公務員として真面目にふざけるという唯一無二のポジションを大事にしたい」と迷いのない答えが返ってきました。「霞ヶ関の広報に一石を投じることができたので、今後はユーチューブ一本槍というのではなく、広報の大きなパラダイムシフトとして捉えていきたいです」。さらなる飛躍が楽しみな、霞ヶ関の星です。
共同獣医学部 獣医学科
獣医学教育改革室 室長
有村 卓朗 教授
獣医学教育の国際化を推進
~アジア初の欧州獣医学教育認証<EAEVE※>取得を牽引~
本学では、世界に通用する獣医師養成を目指して2012年、山口大学との連携で共同獣医学部を設置した。教育の国際化を推し進める上で、海外との架け橋として翌13年度に着任したのが有村卓朗先生だ。医学、獣医学の学識・知見を持ち、フランスの国立研究所での勤務経験を持つ有村先生は、欧州で培った経験と語学力、人脈を糧に獣医学教育の国際化を牽引する。グローバルな視点に立った獣医学教育学研究と行動力は、アジア初の欧州獣医学教育機関協会(EAEVE)国際認証取得(19年)に大きく貢献した。
※EAEVE(European Association of Establishments for Veterinary Education):1988年、欧州の獣医師養成機関の学長等により設立された。欧州連合(EU)加盟国における獣医師に 対する教育プログラムの標準化を主な目的としており、欧州内の獣医学教育機関の公式評価機関としての役割を担う。近年はEU加盟国に限らず、獣医学教育機関の教育の質と水準を評価し、 教育の質を向上させる取り組みをグローバルに進めている。
不可避な獣医学教育の国際化
「獣医学は軍馬や農耕馬を中心とする馬の診療に端を発し、わが国の獣医学教育は欧米とはややベクトルの異なる発展を遂げました。一方、近年は新型コロナウイルス、鳥インフルエンザ、豚熱など越境性の動物由来の感染症制御や食品の輸出入に伴う防疫、食の安全確保に対する社会的ニーズは高まる一方です」。グローバル化の進む中、獣医師の職域は広がり、動物医療の高度化、細分化も進んでいる。現在、国内をはじめアジア諸国においても、獣医学の国際水準化の動きが進んでいるという。
「当初、欧米基準という目標は定まっていたものの、何から手をつけていいか分からないという状態からのスタートでした」。フランスの知人のつてをたどりEAEVE関係者とのコネクションを取りつけ、フランス、イギリス、ベルギーなど欧州の教育機関の視察を重ねた。さらに非公式診断のため視察団の訪日を複数回実現、改革案を練り上げた。「90項目の欧州基準全てを満たさなければ認証は取得できません。最初の非公式診断を受けた時点で本学の到達度はおよそ40%。動物病院や動物実習施設の新築、臨床実習の拡充、カリキュラム改変など多岐にわたる改革を一つ一つ進めました」。歴代の学長、学部長をはじめとする大学の全面サポートの賜物、と有村先生は感謝を口にする。
世界トップレベルの人材育成体制を整備
授業の内容も大きく改変した。「日本の学校の授業は基本的に座学による知識の習得に偏りがちですが、欧米の獣医学教育はそれプラス実学が重視されます。我々は教育の変換を迫られたんです」。全学部生に対し、獣医師が診療対象とする主要動物(イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ニワトリ、イルカなどエキゾチック動物)全てをカバーする臨床実習を導入。実技の見学だけではなく、一人ひとりが手を動かしてスキルを学ぶ「ハンズオン方式」へと切り替えた。実習に必要な動物や施設について学内だけでは賄うことができないため、学外各機関の協力を仰いだ。「県内には数多くの農場や牧場、家畜保健所や食肉衛生施設、動物園、水族館など関連機関がそろっており、県や市町村、民間企業も本学の教育に非常に協力的。鹿児島だからこその教育リソースに恵まれていることも幸いしました」
教育の質の保証についてもEAEVEの基準では定められており、同学部では教員、外部識者、学生の三者から成る諮問会議などを設置。三位一体となって「Plan-Do-Check-Act」サイクルによる継続的な教育改善に取り組んでいる。
無駄なことは何一つない
現在のカリキュラムは、卒業後、多岐にわたる獣医師の仕事ができるような知識とスキル(Day One Skill)の修得を目指して組まれている。「卒業後すぐ欧州で働くことができるかというと、現実的には語学の壁や世界のライバルとの競争もあり容易なことではありませんが、海外の認証校とは科目や単位の互換性もあり、長期留学へのハードルは低くなったと言えます」。現在、有村先生は国内他大学のEAEVE認証取得のアドバイザーを務める。一方、認証の期限は7年間と定められているため、26年に控えた次回の認証取得へ向けた取り組みも 始めている。途方もないビジョンに向かって歩み続ける心の持ち方を尋ねると「目の前の事が無駄に思えることもあるけれど、やるしかない時はやる。振り返ってみると、無駄なことは何一つないと実感しています」との答えが返ってきた。
有村 卓朗(ありむら・たくろう)
1997年3月 東京農工大学農学部獣医学科卒業,2001年3月 東京医科歯科大学大学院医学系研究科博士課程修了[博士(医学)],国立医薬品食品衛生研究所を経て02~04年 フランス国立保健医学研究所研究員,05~13年 東京医科歯科大学難治疾患研究所分子病態分野 助手,助教,准教授歴任,13年 鹿児島大学農水産獣医学域獣医学系共同獣医学部獣医学科 特任准教授着任,准教授を経て20年より現職
■所属学会等 : 日本獣医学会、日本循環器学会、International Society for Heart Research、日本人類遺伝学会
■研究分野 : ○国際獣医学 ○獣医学教育学 ○循環器病学
移植・再生医療に有用な独自開発
ミニブタによる前臨床(トランスレーショナル)研究
〜地域特性を生かしたグローバルな研究により移植・再生医療の発展に貢献〜
生命科学動物実験ユニット 大動物研究推進部門
医用ミニブタ・先端医療開発共同研究部門(兼)ユニット長
佐原 寿史 准教授
- 大学、製薬・医療機器・食品関連企業等との共同研究や米国ジョンズ・ホプキンス大学等との海外共同研究に取り組んでいます。(実験動物愛護の基本理念3Rに基づく大動物実験)
- 日本先進医工学ブタ研究会を運営し、研究発展の推進活動を行っています。
- MHC確立クラウン系ミニブタは鹿大発ベンチャーであるNPO法人医用ミニブタ研究所で安定生産・供給されています。
移植・再生医療研究の鍵となる医用ミニブタの
安定供給基地として先端的研究を推進
移植・再生医療研究に不可欠な主要組織適合性抗原(MHC)の確立した実験動物の生産を目指して、本学においては1970年代から計画的なミニブタの繁殖計画が始まり、クラウン系ミニブタの作出に成功しました。MHCの判明した個体が常時生産される、国内唯一の実験用大動物という特性を持ちます。我々は、医用ミニブタの安定的生産・供給体制の下、学内外および海外研究者のネットワークの中、先端の移植・再生医療の研究および研究支援を行っています。
ブタは解剖学・生物学的にヒトと近い構造を持つことに加え、多産で飼育しやすいなど、ヒトへの応用を目指す様々な研究に適しています。特に、半年で100kg以上に成長する家畜ブタと比べ、本学の開発したクラウン系ミニブタは8カ月齢で20kg程度とサイズが抑えられ、長期観察が必要な医療機器開発や薬物開発、さらにはヒトへの臓器提供が可能な異種ドナーとしても適しています。
MHC確立クラウン系ミニブタを用いた、
再現性の高い長期にわたる大動物前臨床研究の実施
新しい治療法を開発する際、マウスなどの小動物実験で得られた結果をヒトへ応用する前に、ブタやサルなどを用いた大動物前臨床研究(トランスレーショナル研究)が必須です。ヒトと解剖学的・生理学的に類似しサイズも近いミニブタは、入手が容易で扱いやすいため、臨床応用を目指した薬物・医療機器開発に広く使用されています。我々は、実用化を見据えた移植・再生医療実験を行うために重要な、主要組織適合性抗原(MHC)が判明したミニブタを独自に開発し、特性を生かした次の研究を行っています。
◎ 移植医療や再生医療の際に生ずる拒絶反応の発症機序の解明と、新しい治療法の開発。
◎ 臓器・細胞保存、人工臓器、人工血管、カテーテルなどに関する新しい医療機器の開発。
取り組み事例
MHCの適合・不適合による細胞学的反応や移植臓器生着の違い
PCR法により判定される、MHCが完全に異なる二つのタイプ(C1およびC2)のクラウン系ミニブタが生産されていますが、細胞学的試験によって、C1とC2は互いに強い反応性を示すことが実証されました。細胞評価に加え、臓器移植(短期免疫抑制療法併用)でも、MHC適合の際は、1年以上も臓器が生着するのに対し、MHC不適合の際は1~2カ月で強い拒絶反応が生じ、MHC適合性によって大きく結果が異なることが実証されました。MHCを考慮に入れることによって、大動物でも再現性の高い試験実施が可能となり、また細胞学的試験に基づく詳細な解析も可能となります。
拒絶反応の抑制を示す試験や効果の評価(MHC不適合間移植)
MHC不適合間移植では、免疫制御作用が期待される新しい薬物の投与によって、移植臓器の生着が延長されることを明確にすることが可能です。拒絶発生機序の解明や新しい治療法の開発に有用なモデルとなります。
移植臓器や再生医療によって創出した細胞・臓器の長期間の有効性・安全性評価(MHC適合間移植)
MHC適合間移植では移植臓器が長期間にわたり拒絶されないため、新しい概念に基づく臓器保存方法の開発、治療薬の臓器への影響、あるいは再生臓器の生着や安全性評価など、長期評価が求められる開発実験に有用なモデルとなります。
ヒトへの移植に適したサイズのミニブタを用いた遺伝子改変ブタの作出
2022年1月に、米国で実施された異種移植(遺伝子改変ブタの臓器をヒトへ移植)は、日本でも大きく報道されました。ヒトと同じサイズであるミニブタは異種移植ドナーに最適であり、日本独自の遺伝子改変ブタ作出に貢献しうる実験動物です。
鹿大メッセージ
鹿児島は日本トップクラスの畜産県として、食用ブタの繁殖・開発に関する豊富な実績を持っています。ミニブタの繁殖・開発には高度な技術と経験が要求されますが、鹿児島が持つ高い繁殖技術を基礎にして、長い年月にわたる計画的な繁殖によって、独自のMHC確立医用ミニブタを開発し、生産・販売に至ったことは、鹿児島大学の大きな財産です。そしてこのミニブタは日本の医工学領域での研究発展にも大きな貢献を果たしうるものです。
今後も研究実績を積み重ね、大動物を用いた前臨床研究の発展、特に移植医療や再生医療の発展、異種移植の実用化を進めていき、地域イノベーション創出に貢献したいと考えています。
- 1994年
- 京都大学卒。医学博士。胸部外科医。
- 2004年
- ハーバード大学マサチューセッツ総合病院移植生物学センターに留学
- 2007年
- 京都大学呼吸器外科助教・鹿児島大学協力研究者
- 2010年
- 鹿児島大学フロンティアサイエンス研究推進センター(医用ミニブタ・先端医療開発共同研究センター、先端科学研究推進センターと組織名称変更)准教授。
日本臓器保存生物医学会理事、日本異種移植研究会世話人、日本先進医工学ブタ研究会世話人・事務局代表、日本呼吸器外科学会評議員など。
米国ジョンズ・ホプキンス大学からのメッセージ
私は鹿児島大学教授、医用ミニブタ・先端医療開発研究センター長として、2007年から佐原先生とともに、クラウン系ミニブタを用いたブタ・ブタ間の同種移植実験や、ブタ・サル間異種移植実験系に着手し、短期間のうちに、系統立てた長期観察実験を行える大学施設として認知される成果を挙げることができました。移植免疫寛容と異種移植の研究を行っていた私が主宰するハーバード大学の研究室と同レベルの実験が行えるようになったことは、大きな喜びでした。
その後、私は異種移植の臨床応用の立ち上げのため、コロンビア大学教授として再び米国に戻りましたが、佐原先生は独自の力で科研費基盤Bや国際共同研究強化費などを継続的に獲得し、国内の研究者との連携も拡大し、鹿児島大学の研究室を更に発展させています。米国では異種移植の臨床応用への競争が激しく、2022年の夏には私も異種移植の臨床応用を計画しているジョンズ・ホプキンス大学から異種移植プロジェクトのリーダーとして招かれ、コロンビア大学から移籍していますが、今後、鹿児島大学佐原研究室と人的交流・技術共有を含めた日米共同研究を強化していきます。鹿児島から世界に発信する研究成果が得られ、また鹿児島から世界に飛び立つ若手研究者の育成につながるよう、少しでも力になることができればと願っています。
産学連携に関する相談・お問い合わせ窓口 : 南九州・南西諸島域イノベーションセンター ☎︎099-285-8491
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大阪・神戸ドイツ連邦共和国総領事マルティン・エバーツ氏が表敬訪問
6月17日、大阪・神戸ドイツ連邦共和国総領事館のマルティン・エバーツ総領事、ハートヴィック総領事夫人ならびに総領事館の飛鳥井たまき氏(通訳)が、佐野 輝学長及び馬場 昌範理事・副学長(研究・国際担当)を表敬訪問されました。法文学部からは松田 忠大学部長、中島 大輔教授が陪席しました。
エバーツ総領事は、同日法文学部で開催の講演会「ドイツのエネルギーシフトとウクライナ戦争の影響」の講演者として本学を訪れ、表敬が実現したものです。
今回の大阪・神戸ドイツ連邦共和国総領事による訪問を契機に、今後の両国の連携がさらに深まることが期待されます。 -
附属図書館桜ヶ丘分館リニューアルオープン式典を実施
6月30日、附属図書館桜ヶ丘分館リニューアルオープン式典を実施しました。
同館は昭和52年に建築され、医学・歯学・保健学を中心とした教育・研究・診療活動に必要な資料を備え、利用者の皆様へ学術情報を提供するとともに、情報ネットワークに対応した学習環境を備え、地域医療を支える人材育成を支援してきました。築40年を迎えた現 在では、建物自体の経年劣化が進んできたこと、また少人数グループでのアクティブ・ラーニングの推進が求められていることなどから、改修が行われる運びとなりました。
新しい桜ヶ丘分館が、学生らの積極的な学びへと繋がり、医歯学 教育のさらなる発展に寄与することが期待されます。 -
令和4年度前期鹿児島大学留学生後援会奨学金授与式を開催
7月19日、令和4年度前期鹿児島大学留学生後援会奨学金授与式が行われました。
本奨学金は、鹿児島大学留学生後援会が私費外国人留学生に対して経済的支援を行い、学習効果を高めることを目的として支給しているもので、今回は、7名の留学生へ奨学金が支給されました。 -
令和4年度鹿児島大学同窓会連合会総会を開催
7月30日、共通教育棟1号館111号教室において、令和4年度鹿児島 大学同窓会連合会総会が開催されました。
「新型コロナウイルス感染症」のパンデミックにより令和2年度及 び令和3年度の総会は書面会議で実施しておりましたが、令和4年度 の総会は、新型コロナウイルスの感染対策を十分に行い、約3年ぶり に対面方式での開催となりました。
出席者の自己紹介に続き、武隈晃理事(教育担当)の進行のもと、「鹿児島大学での学生生活を振り返って感じること」、「鹿児島大学で学んだことを社会でどう活かしていきたいか」、「これからの鹿児島大学に望むこと」をテーマに、フリートーキングの形で懇談が進められました。
なお、懇親会は令和2年度及び令和3年度に引き続き中止となりました。
協議終了後、「- 鹿大の現状報告 - 学長就任後の3年間を振り返って」と題して、佐野 輝学長の講演が行われ、大学の様々な取り組みや現状等について、資料を用いて詳細な説明があり、有意義な時間となりました。 -
経営協議会学外委員と教育研究評議会評議員との意見交換会を実施しました
8月2日、経営協議会学外委員(学外有識者)と役員・部局長等で構成する教育研究評議会評議員との意見交換会を実施しました。
この意見交換会は、経営協議会と教育研究評議会との合同懇談会を実施するとともに、学外有識者との意見交換の機会を充実させ、多様な関係者の意見、期待を踏まえた大学経営に取り組むことを目的に実施されたものです。
意見交換会では、「経営協議会・1年を振り返って」のテーマで、令和3年9月から令和4年4月までの経営協議会の協議事項において出された学外有識者からの意見に対する本学の対応について、多くの質問があり、各部局長等から説明を行い、活発な意見交換が行われました。 -
令和3年度ベストティーチャー賞授賞式を開催
8月3日、令和3年度鹿児島大学ベストティーチャー賞授賞式を開催しました。
同賞は、教員の意欲向上と大学教育の活性化を図ることを目的とし、教育実践に顕著な成果をあげた本学教員の功績を表彰するものです。平成30年度に始まり、第4回目となる今年度は、複数の教員から成るチームも対象となり、ベストティーチャー最優秀賞に4名、ベストティーチャー賞に3名の教員と1チームが選出されました。 -
オープンキャンパス2022を開催しました
8月4日から8月7日および8月10日の5日間、オープンキャンパス2022を対面とオンラインにて開催しました。9つの学部にて説明会やポスター展示、体験講義、学生交流企画など様々なプログラムを実施した他、就職や学生支援などについての保護者向け説明会、附属図書館の施設見学も実施しました。
各会場では、高校生の皆様が夢中で講義に耳を傾ける姿や、研究内容を紹介する大学生たちへ熱心に質問をする姿が見られ、鹿児島大学でのキャンパスライフをより身近に感じていただくことができました。 -
鹿児島県から「基幹型認知症疾患医療センター」に指定されました
鹿児島大学病院では、鹿児島県から令和4年9月1日付けで、認知症疾患医療センター(基幹型)の指定を受け、同日より稼働を開始しました。
認知症疾患医療センターは、認知症の早期診断、早期対応のための体制の充実を図るため、国・県を挙げて整備が進められている機関です。基幹型、地域型、連携型に分類され、鹿児島県では、これまで9つの地域型と2つの連携型が稼働しています。
同センターでは、鹿児島県全体における認知症疾患の保健医療水準の向上を目的とし、特に高度診断に力を入れていくこととしています。 -
法文学部附属「鹿児島の近現代」教育研究センターを設立 記念式典と記者発表を開催
10月1日、法文学部附属「鹿児島の近現代」教育研究センターを設立しました。このセンターは、歴史・文化・自然環境などの貴重な地域資源を有する鹿児島の、特に近現代に焦点を当て、学際的な教育研究を推進するための機関です。近現代の歴史研究に軸足を置きながら、現代まで継承されている貴重な有形・無形の文化財の保護や、鹿児島の抱える諸課題の解決を目指す取り組みまで、幅広い活動を通して地域の活性化を目指すこととしています。
- 貴社の業務やSDGsへの取り組みなどについて教えてください
- 弊社は、ビルや施設におけるビジネス空間のトータルマネジメントと環境保全を基幹業務とし、各部門の多岐にわたる質の高いサービスを通して、そこに生活する人々の安心で快適な空間(温かみのある居住空間)づくりを目指しております。
- 本学の学生に向けて応援メッセージをお願いします!
- 私たちは大学構内の清掃業務もさせていただいておりますが、施設を皆さんがいつも綺麗に利用されているお陰で、大変気持ち良く仕事ができております。ありがとうございます。是非、これからも環境にやさしい思いを持ち続けてください。
4年
環境にやさしい暮らしをオシャレに楽しむ。等身大の“エシカル※”を発信
中学生の頃。英語の教科書で読んだ写真家・星野道夫のエッセーでオーロラに魅了され、調べていく中で出合ったのが環境というテーマです。「子どもの頃から動物が好き。その動物を守るためには自然を守ることからなんだなと」。現在、霧島の植生に関する調査を卒業研究として手掛ける傍ら、環境にやさしい雑貨や古着ファッションなどをSNSで発信。海岸清掃、染色ワークショップなどの活動も主宰します。
志に沿って生き生きと活動する櫻井さんですが、過去には2度の“退学未遂”も。3年生の頃、周囲の就活の流れについていけなかったことがきっかけでした。将来的に環境に関わりたいという思いはあるものの、自分にフィットする進路の方向が見えず、前へ進めなくなりました。「大学生はこうあるべきという固定観念を捨てて、いろんな選択肢を探せばいい」という教授からの言葉が手がかりとなり、退学ではなく休学を選択。アパレルショップでのアルバイトやフィリピンへの短期留学など、経験の幅を広げました。復学に向け「自信をつけるため」ミスコンテストに応募、鹿児島代表に選ばれたことがSNSを始める契機ともなりました。
「学生時代こそ意欲的にチャレンジしてほしい。今やりたいことがわからない時は、一旦休んで、学業以外に興味のある事をやってみるのもいいと思います」。自分の足取りで一歩ずつ進んできた経験をもとに、後輩にエールを送ります。
※エシカル:「倫理的」という意味の英語。自然・社会環境に配慮し、良識にしたがって考え、行動を選択する概念として使われる。
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- クリアファイル 価格:110円(税込)
- お土産としても人気♪さっつんイラストの他、キャンパス内の風景が楽しめるデザインも。
サイズ:A4
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- さっつんストラップ 価格:350円(税込)
- コロンと丸みを帯びたキュートなさっつん!手作業で作られているため、一つ一つ表情が違います。お気に入りを見つけて。
サイズ:全長約 3cm
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- さっつんぬいぐるみ
価格:1,650円(税込) - カウンターや窓口用におひとついかがでしょうか?
サイズ:幅 21cm・高さ 21cm・奥 15cm
- さっつんぬいぐるみ
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- ポリエステルバッグ
価格:500円(税込) - A4 が入るトートバッグ。便利な内ポケット付き。
素 材:ポリエステル/カラー:ネイビー
サイズ:W35cm x H30cm x D13cm
- ポリエステルバッグ
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- さっつん今治製タオル
価格:360円(税込) - 綿 100% の柔らかな肌触り。今治製。
フェイスタオル 36cm x 84cm
- さっつん今治製タオル
インフォメーションセンター(鹿児島大学正門横)
☎099-285-3864 開館時間:月曜日〜金曜日(休日・祝祭日を除く) 9:30〜16:30(昼休み13:00〜14:00)